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処理工程や処分基準など…、「産業廃棄物」を解説!

2021/05/21
私たちが日々生活する上で、どうしても出てきてしまうごみ。廃棄物とも呼ばれ、大きくは「一般廃棄物」「産業廃棄物」に分かれています。ざっくりと説明すると、事業活動に伴って生じるのが「産業廃棄物」、それ以外は「一般廃棄物」となります。そして、その種類ごとによって扱いや処理の方法が異なってきます。
詳しい分け方、一般廃棄物の種類についてはこちらの記事で説明しています。

事業所から排出された廃棄物は、法律によって排出事業者自らが処理することが義務つけられています。そのため、事業を滞りなく進めるためにも、事業者は廃棄物とは何か、またそれらをどのように扱わなければならないかを正しく理解しておく必要があります。ここでは主に産業廃棄物について、その分類や処理の流れなどについて、詳しく解説していきます。


産業廃棄物とは?

「産業廃棄物」事業活動にともなって生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類のもの(燃え殻、汚泥、廃油など)を指します。

産業廃棄物の種類は、大きく「あらゆる事業活動に伴うもの」排出する業種が限定されるもの」に分けられます。例えば製紙工場から排出される紙くずは「産業廃棄物」になりますが、オフィスなどから排出される紙くずは「一般廃棄物」となります。

また、爆発性、毒性、感染性のある廃棄物は「特別管理産業廃棄物」に分けられます。

産業廃棄物の種類

あらゆる事業活動
に伴うもの

1.燃えがら

2.汚泥

3.廃油

4.廃酸

5.廃アルカリ

6.廃プラスチック類

7.ゴムくず

8.金属くず

9.ガラス・コンクリート・陶磁器くず

10.鉱さい

11.がれき類

12.ばいじん

排出する業種が限定されるもの

13.紙くず

14.木くず

15.繊維くず

16.動物系固形不要物

17.動植物系残さ

18.動物のふん尿

19.動物の死体

20.コンクリート固形化物など、上記の産業廃棄物を処分するために処理したもので、1~19に該当しないもの


産業廃棄物処理の基本的な流れ

廃棄物の処理には「分別・保管」から始まり、「収集・運搬」、「積替・保管」、「中間処理」を経て、「再生」もしくは「最終処分」されるまで全ての行為がその範囲に含まれます。

①分別・保管
廃棄物の処理は、事業場で発生した廃棄物を「分別」し「保管」するところから始まります。上記の種類ごとに分別しますが、分けることが困難な廃棄物は「混合廃棄物」として別の扱いをします。
分別された廃棄物は、廃棄物回収業者が回収にくるまでは、事業場の一画に一時保管をします。保管の際には後述のように厳格な基準が定められています。

②収集・運搬
排出者の保管場所から廃棄物を収集し、処分を行う場所まで運搬します。
排出者が自ら行う収集・運搬には許可が不要ですが、産業廃棄物、一般廃棄物の収集 ・運搬を他人から委託を受けて行う場合は専門の許可を得る必要があります。これらの許可は、主に都道府県が担当しており、荷積みと荷卸しの場所が都道府県をまたぐ場合は、それぞれの都道府県から許可を得なければなりません。

③積替・保管
集荷した廃棄物を別の車に積み替えて出荷するまでの間、一時保管します。
積替保管の許可は単独では取得できず、収集・運搬業許可に積替保管を含む形で付与されます。積替保管を含む許可は、処分業の許可と同様、都道府県または許可権限を持つ政令市(保健所政令市)単位で取り扱われます。

④中間処理
産業廃棄物の最終処分を行うために、分別や粉砕による減量化、脱水、焼却・中和等を行うことを総じて「中間処理」と呼びます。保管量が大型トラック1台分の量に達した段階で最終目的地に向け出荷されます。

⑤再生
廃棄物を加工して原材料(燃料含む)化することで廃棄物処理法では「再生」と呼んでいます。
いわゆる「リサイクル」のことで、①マテリアルリサイクル②ケミカルリサイクル③サーマルリサイクルの3種に大別できます。

⑥最終処分
中間処理を終えた産業廃棄物を、土の中に埋めたり、海に投棄することを「最終処分」と呼び、いわゆる埋め立てのことです。最終処分場は内陸に設置する場合と海面埋立をする場合の二通りがあります。


排出事業者の責任とは?

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」で、事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない、また自ら処理しなければならないとされています。そして処分や委託する場合、それぞれ廃棄物処理法で定める”基準”に従わなくてはなりません。

処理基準
産業廃棄物の収集・運搬の方法に関する「収集運搬基準」と、処分の方法に関する「処分基準」の2種類あります。

収集運搬基準
排出者自ら産業廃棄物の収集・運搬を行う場合の基準
  • 廃棄物が飛び散ったり、漏れ出したりしないようにする。
  • 悪臭や騒音、振動などに対して必要な措置を講じる。
  • 運搬車の外側に「産業廃棄物収集運搬者」であることを表示する。
  • 運搬車に、事業所の名称や連絡先、運搬先の所在地、産業廃棄物の種類などを記した書類を携行する。

処分基準
排出事者自ら、産業廃棄物を処分する場合の基準
  • 中間処理時に廃棄物が飛び散ったり、漏れ出したりしないようにする。
  • 中間処理時の悪臭、騒音、振動等に対して必要な措置を講じる。
  • 焼却時には燃焼室ガス温度800℃以上で焼却する。
  • 焼却処理には必要な空気量を確保する通風設備を用意する。
  • 焼却処理には燃焼室内温度の測定を行う。
  • 焼却処理に関して燃焼室温度保持のための助燃装置を設置する。
  • 焼却時に煙突先端から火炎・黒煙がでないようにする。
  • 焼却時に煙突から焼却灰および未燃物が飛散しないようにする。

保管基準
排出者が廃棄物を一時的に保管する場合に義務付けられている基準
  • 保管期間は、収集・運搬や処理を行うまでのやむを得ない期間のみとする。
  • 保管場所の周囲に囲いを設ける。
  • 保管場所の見やすい場所に、必要事項を記載した掲示板を設ける。
  • 積み上げた産業廃棄物が決められた高さを超えないようにする。
  • ネズミやハエ、蚊などの害虫が発生しないようにする。
  • 廃棄物の飛散や流出、地下浸透や悪臭の発散が起きないようにする。

委託基準
排出者が、産業廃棄物の収集・運搬や処理を別の業者に委託する場合に義務付けられている基準
  • 委託する業者と書面で契約書を交わす。
  • 収集・運搬と処分を別の業者に委託する場合、それぞれ契約書を交わす。
  • 契約書は契約終了後5年間保存しておく。
  • 産業廃棄物管理票(マニフェスト)を委託する業者に交付し、その処理状況を確認・管理する。
チェック!
基準に違反した場合、罰則を課せられる場合も!
基準が守られないと懲役刑や罰金刑に問われることもあります。
例えば排出事業者ではなく、委託した処理業者が不法投棄等を行った場合においても、排出事業者が原状回復の措置命令等の行政処分の対象となる場合があるため、委託先は慎重に選ぶ必要があります。
他にも排出事業者責任に違反した場合の罰則は複数あります。


法律で定められており、違反した場合には罰則も課せられる可能性がある産業廃棄物の処理。
事業を推進していくため、排出事業者の責任を理解し、事業所で排出されている産業廃棄物の状況を確認・把握する必要があります。

とは言っても、分かりづらく、ややこしく手間取るものもあります。事業所の廃棄物の現状把握やコンプライアンス強化をお考えで、「時間がない」「何から手を付ければいいかわからない」とお困りの方は、ぜひ当社までお問い合わせください。

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