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【2025年最新版】相続放棄と賃貸退去の基礎知識|片づけ・解約・管理の正しい流れ

2025/09/29
賃貸物件が絡む相続は、「放棄したいのに片付けや解約を求められる」という板挟みになりやすいのが実情です。拙速に片付けや契約手続きを進めると“単純承認”と判断され、相続放棄が無効になるおそれもあります。本稿では、相続放棄の基本と賃貸特有の注意点、さらにトラブルを抑えるための実務的対応を整理しました。熟慮期間(原則3か月)の扱い、保存(保全)行為と単純承認の境界、相続財産管理人の活用、連帯保証人や近隣対応までを俯瞰し、後悔しない進め方を解説します。

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相続放棄の基礎:期限・申述先・効果

相続放棄は、被相続人の財産と負債を一切引き継がない手続です。申述は「自己のために相続開始を知った日」から原則3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ行います。事情により期間の伸長申立ても可能。受理されれば「初めから相続人でなかった」扱いとなり、借金や資産も承継しません。まずはこの3点(期限・管轄・効果)を外さないことが肝要です。

単純承認を避ける:片付けや口座利用のリスク

単純承認とは、遺産を無条件に承継したとみなされる状態です。熟慮期間中であっても、遺産を処分したり積極的に管理したと見なされる行為は危険です。
典型例は以下の通りです。

  • 値打ちのある家財の売却・譲渡
  • 故人名義の口座からの引き出し・支払い
  • 相続人名義での退去や解約手続き

逆に、腐敗物の除去や施錠確認など周辺被害を防ぐための保存(保全)行為は認められることがあります。境界が曖昧な行為は、放棄確定後に行うか、専門家に判断を仰ぐのが安心です。


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賃貸借契約は死亡で自動終了しない

建物の賃貸借契約は、借主の死亡によって自動的に終了するものではなく、賃借権は相続財産に含まれます。したがって「相続人がいないから勝手に終わる」とは限りません。
例外として「終身建物賃貸借」という特別契約は、借主の死亡で契約終了とされる仕組みです。ただしこれは高齢者住宅向けの制度であり、一般的な賃貸借には当たりません。
通常の賃貸で放棄を考える場合は、解約や退去を相続人の名で進めるのは避け、家主・管理会社へ「放棄申述中(または予定)」である旨を伝え、保存行為に限定する方針を説明するのが安全です。

連帯保証人の責任は相続放棄と別物

賃貸借では連帯保証人の存在が大きな問題になります。

  • 第三者が保証人の場合:その人の責任は相続放棄とは無関係に存続。
  • 被相続人自身が誰かの保証人だった場合:その保証債務は遺産の一部となり、放棄しなければ承継されます。

つまり、相続放棄をしても「自分が保証人」だった場合の責任は消えません。逆に「故人が保証人」で、自分が相続人という場合は、放棄によりその保証債務を引き継がずに済む可能性があります。契約書を確認し、どの立場での保証なのかを正確に把握することが不可欠です。

保存(保全)行為として許される対応

放置による悪臭や害虫被害を防ぐための最小限の対応は、保存行為として許容されやすいです。
例:

  • 腐敗した食品やゴミの撤去
  • 漏水やカビの応急処置
  • 鍵の管理・施錠確認

ただし、価値のある物品や処分価値が不明な物は避け、鑑定や放棄確定後に判断する方が安全です。

相続財産管理人を立てて安全に整理する

相続人が全員放棄した場合や相続人が不明な場合、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらうことが可能です。管理人は、賃貸の退去や動産の整理、債権者への弁済などを裁判所の監督下で行います。

メリット

  • 相続人が片付けや売却を主導せずに済む
  • 裁判所の管理下で進むため、公平性・透明性が担保される

費用

予納金や報酬が必要で、数万円~数十万円以上になることもあります。ただし金額は財産の規模や裁判所の判断で大きく変動します。「裁判所が事案ごとに定める」ことを押さえておくとよいでしょう。

家主・管理会社との連絡の仕方

放置すれば家賃滞納や近隣トラブルに発展するため、家主・管理会社には早めに連絡を入れるのが基本です。その際は、

  • 相続放棄申述中であること
  • 保存行為の範囲にとどめる方針であること
  • 本格的な整理は管理人選任後に行うこと

を明確に伝えると誤解が少なくなります。やり取りは書面やメールで記録を残しておくと安心です。

ゴミ屋敷や孤独死が絡むケース

特殊清掃や大規模処分が必要な場合、相続人が主導すると単純承認と解されるリスクがあります。
安全な手順は次の通りです。

  1. 保存行為の範囲で最低限の衛生対策を実施
  2. 相続財産管理人を選任し、整理を委ねる
  3. 費用の見通しを早めに確認し、必要に応じて保険や公的支援も検討

よくある誤りと回避策

  • 故人口座を使って支払い → 相続財産の処分と評価される危険。
  • 価値不明の品を安易に処分 → 後から高額価値が判明し、放棄の効力を疑われる。
  • 相続人名義で解約・退去 → 契約処分と解され、放棄無効リスク。

実務フロー(安全側)

  1. 賃貸契約・保証契約の確認
  2. 家庭裁判所へ放棄申述(必要に応じて熟慮期間の伸長申立ても)
  3. 保存行為のみ実施(腐敗物撤去や施錠確認)
  4. 家主・管理会社へ連絡し、保存行為に限定する方針を共有
  5. 全員放棄なら相続財産管理人を選任 → 管理人主導で整理・退去

形見分け・仕分けの注意点

写真や手紙など金銭的価値の低いものは形見分けとして扱いやすいですが、貴金属や美術品などは慎重に。価値が不明な場合は鑑定を依頼し、放棄確定後または管理人の監督下で進める方が安全です。家族間の感情トラブルを防ぐため、第三者立会いや記録化も有効です。

事例紹介

同居人・保証人がいる場合

  • 同居人:名義変更や再契約の可否を早めに家主と協議。ただし放棄中は契約形態の変更が難しい場合も。
  • 保証人:相続放棄とは関係なく責任が残ることがある。退去や原状回復費用の負担を文書で整理しておくと後々安心。

近隣・衛生トラブルを未然に防ぐ

放置された物件は悪臭や害虫の発生源になり、行政指導や訴訟につながることもあります。保存行為の範囲で腐敗物の撤去や鍵の管理を行い、状況を管理会社や近隣へ説明しておきましょう。自治体の「ごみ屋敷対策窓口」や「生活衛生課」などを活用するのも手です。


相続放棄と家の片づけに関するよくある質問

Q1. 相続放棄を検討中でも家の片づけをしてよいですか?

A1. 原則として注意が必要です。相続放棄が確定する前に遺産を処分すると「単純承認」とみなされ、放棄が無効になるおそれがあります。
ただし、腐敗した食品や衛生上の危険を取り除くなどの「保存行為」に限られる場合は認められることがあります。価値のある家財は手を付けず、専門家に相談するのが安全です。


Q2. 相続放棄後でも家の片づけをしなければならないのですか?

A2. 相続放棄が認められれば、相続人としての処分義務はなくなります。ただし、放置によって近隣に悪臭・害虫などの被害が出ると、社会的責任を問われる可能性があります。必要に応じて家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を申し立て、管理人を通じて片づけを進めるのが適切です。


Q3. 相続放棄前に大家や管理会社から退去や片づけを求められたら?

A3. 相続放棄の意思を伝え、保存行為の範囲にとどめることを説明してください。相続人が自ら契約解除や退去を主導すると、相続を承認したとみなされるリスクがあります。必ず「放棄手続き中である」ことを明示し、弁護士や司法書士に相談しながら対応しましょう。


Q4. 故人の預金を使って家賃や公共料金を払っても大丈夫?

A4. 危険です。被相続人の口座からお金を引き出して支払いに充てる行為は「相続財産の処分」とみなされる可能性が高く、単純承認に当たるおそれがあります。どうしても必要な場合は、家庭裁判所や専門家に手続を確認してから行動しましょう。


Q5. 形見分けはいつからしてもよいですか?

A5. 相続放棄が確定するまでは避けるべきです。高額品を「形見分け」として渡すと、財産の処分と判断され放棄が無効になるリスクがあります。写真や手紙など経済的価値の低いものは問題になりにくいですが、判断が難しい品は放棄確定後、または相続財産管理人の監督下で行うのが安心です。


Q6. ゴミ屋敷や孤独死で特殊清掃が必要な場合は?

A6. 悪臭や害虫の被害を防ぐ最低限の清掃は保存行為として許されやすいですが、大規模な整理や高額な家財の処分は相続放棄確定前に行うと危険です。専門の清掃業者に相談し、必要に応じて相続財産管理人を選任して対応するのが望ましいです。


Q7. 相続放棄しても連帯保証人の責任はなくなりますか?

A7. 相続放棄と連帯保証人の責任は別物です。故人が契約した賃貸物件に第三者の保証人が付いていれば、その人の責任は相続放棄に関係なく残ります。また、被相続人自身が他人の保証人だった場合、その債務は遺産に含まれ、相続放棄しなければ承継されます。契約書を確認のうえ、責任範囲を明確にしましょう。


Q8. 相続人が複数いる場合、片づけはどう進める?

A8. 誰かが先走って片づけをすると「単純承認」と判断され、他の相続人との間でトラブルになることがあります。全員で相続放棄するのか、一部のみが承継するのかを事前に話し合い、合意を形成することが大切です。意見が分かれる場合は弁護士や司法書士に立ち会ってもらい、公平に進めると安心です。


Q9. 相続放棄しても近隣から苦情が来たらどうする?

A9. 法的義務はなくても、社会的責任を問われることはあります。害虫や悪臭が出る前に保存行為として最低限の対応をし、管理会社や自治体に相談するのが良い方法です。早期の説明や連絡で近隣トラブルを防ぐことが可能です。

Q10. 安全に片づけを進めるための最も確実な方法は?

A10. 迷ったら「相続財産管理人の選任」または「専門家への依頼」を検討しましょう。相続人が直接動くのは単純承認のリスクがあるため、裁判所や専門家の枠組みを活用することが、費用・トラブル両面での安全策となります。

まとめ——“拙速な善意”が最大のリスク

賃貸物件が絡む相続で問題が起きるのは、「迷惑をかけたくない」と善意で行った片付けや解約が、単純承認と評価される時です。熟慮期間・放棄申述・保存行為・管理人選任という法定の枠組みを外さず、対応は保存行為に限定すること。迷ったら止まり、家庭裁判所や専門家に確認をとることが、トラブルや費用を最小限に抑える最良の方法です。


注意:本稿は一般的な解説です。実際の対応は契約内容・財産状況・裁判所の運用により変わるため、必ず弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。


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[著者]

Y・T

名前: 鈴木 音葉 (Otoha Suzuki)
経歴:2019年にエコブレインに入社。以降5年間、広報部での経験を活かし、環境保護の重要性を広めるための活動に尽力している。特にデジタルマーケティングとコンテンツ制作に強みを持ち、多くの記事を執筆している。
趣味: 読書、ヨガ、カフェ巡り
特技: クリエイティブライティング、データ分析とマーケティング戦略立案

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