【2025年最新版】一般廃棄物収集運搬業とは?基礎知識から許可制度・手続きまで徹底解説

はじめに
廃棄物の適正処理は、地域社会の衛生を守り、持続可能な循環型社会を実現するために欠かせない仕組みです。その中でも「一般廃棄物収集運搬業」は、家庭や事業所から排出された廃棄物を効率的かつ安全に回収・運搬する重要な役割を担っています。
本記事では、一般廃棄物と産業廃棄物の違い、収集運搬業の役割、許可制度の概要、申請手続きの流れ、さらには許可が不要となる例外ケースまでを整理して解説します。これから新規に参入を検討する事業者や、適切に廃棄物処理を委託したい方にとって参考となる情報です。
一般廃棄物と産業廃棄物の違い
日本の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」では、廃棄物は大きく一般廃棄物と産業廃棄物に分類されます。
- 一般廃棄物
家庭から排出される生ごみや紙くず、容器包装ごみなど、産業廃棄物に該当しない廃棄物を指します。市町村が処理責任を負い、家庭ごみの定期収集もこれに含まれます。 - 産業廃棄物
建設業や製造業など特定の事業活動に伴って発生する廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥、廃プラスチック類など、政令で定められた20種類の廃棄物です。排出事業者には「自己処理責任」があり、外部委託する場合は必ず許可を有する産業廃棄物処理業者に委託しなければなりません。
この区分を誤ると、不法投棄や違法処理と判断され、排出者自身が処罰を受ける可能性があります。そのため、発生源や性質を正しく理解することが不可欠です。
家庭系一般廃棄物と事業系一般廃棄物
一般廃棄物はさらに「家庭系」と「事業系」に分かれます。
- 家庭系一般廃棄物
家庭の日常生活で発生する生ごみ、紙くず、衣類などが該当します。自治体が指定する収集日にルールに従って排出し、自治体が処理します。 - 事業系一般廃棄物
オフィスや飲食店、商店など事業活動から発生する紙くずや容器包装類です。排出責任は事業者にあり、自治体が収集しない場合は、一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者に委託しなければなりません。
同じ「紙くず」でも家庭から出るものと事業所から出るものでは取り扱いが異なります。事業系一般廃棄物を家庭ごみとして排出すれば、条例違反や処罰の対象となる可能性があるため注意が必要です。
一般廃棄物収集運搬業の役割
一般廃棄物収集運搬業は、廃棄物を適切に回収し、処理施設や再資源化施設まで運搬する役割を担います。
- 地域の衛生環境を維持する
- 不適正処理を防止し、法令遵守を担保する
- リサイクルや資源循環の基盤を支える
都市部では一日の廃棄物量が膨大であり、効率的な収集・運搬体制がなければ街の衛生が保てません。また、収集運搬業者はリサイクル施設や中間処理施設へと廃棄物をつなぐ役割も果たし、循環型社会の実現に大きく寄与しています。

一般廃棄物収集運搬許可の必要性
一般廃棄物の収集・運搬を業として行うには、市町村長の許可が必要です。許可制度が設けられている理由は以下の通りです。
- 不適正処理や不法投棄の防止
- 公衆衛生や環境保全の確保
- 排出事業者や住民の信頼性担保
無許可で事業を行えば廃棄物処理法違反となり、懲役や罰金などの刑事罰の対象となります。
許可申請の基準と必要書類
許可を得るには自治体ごとの審査基準を満たし、必要書類を提出しなければなりません。
主な提出書類は以下の通りです。
- 許可申請書
- 使用する車両や運搬容器の仕様書
- 保管施設の概要
- 事業計画書
- 申請者や法人の経歴・欠格要件確認資料
過去に不法投棄や違反歴がある場合は審査で不利になるため、適正な事業運営を証明できる体制づくりが必要です。自治体によって詳細は異なるため、必ず事前に確認しましょう。
手続きの流れと費用
許可申請から交付までの流れは次のようになります。
- 自治体担当部署へ相談
- 申請書類の作成・提出
- 書類審査や現地確認
- 問題なければ許可証交付
交付までには数週間から数か月を要する場合があります。費用は自治体ごとに異なり、手数料や収入証紙代が必要です。また、許可には有効期限があり、定期的な更新手続きと更新料が求められます。
許可が不要となる例外ケース
原則として許可は必須ですが、以下のような特例があります。
- 専ら物を扱う場合
古紙・くず鉄・あきびん類・古繊維の「専ら4品目」のみを取り扱う処理業は、法令上、許可不要の特例があります。ただし「廃棄物でない」とする趣旨ではなく、対象品目以外を扱えば許可が必要になるため注意が必要です。 - 自ら排出した廃棄物を自社で搬入する場合
事業者が自らの廃棄物を自社車両で処理施設へ運ぶ場合は、許可不要とされることがあります。ただし、搬入方法や処理施設の利用条件は自治体の規定に従う必要があります。 - 市町村から正式に委託を受けた場合
自治体が直接委託契約を結んで収集運搬を行う場合、別途許可は不要とされます。
これらの特例は限定的であり、誤解して適用すると違法行為に問われるおそれがあります。必ず自治体に確認しましょう。
収集運搬業と処分業の違い
廃棄物処理の工程は大きく分けて「収集運搬」と「処分」に分かれます。
- 収集運搬業:排出場所から処理施設まで運ぶ役割
- 処分業:焼却、破砕、リサイクル、最終処分などを行う役割
両者は別の許可が必要であり、自社で一貫して廃棄物を扱う場合は両方の許可を取得する必要があります。
信頼できる業者選びのポイント
廃棄物処理を委託する際には、以下の点を必ず確認しましょう。
- 市町村から交付された許可証の有無と有効期限
- 自治体が公表している許可業者リストに掲載されているか
- 会社所在地や連絡先に不審点がないか
- 車両・設備の保有状況や処理実績
- 契約書の内容(範囲・料金体系・追加費用の有無)が明確か
極端に安い見積もりを提示する業者や、契約内容が曖昧な業者は、不適切処理や不法投棄のリスクが高まります。排出者自身も法的責任を問われるため、慎重に業者を選定することが大切です。

一般廃棄物収集運搬業に関するよくある質問
Q1. 一般廃棄物収集運搬業とは何ですか?
A. 一般廃棄物収集運搬業とは、家庭や事業所から排出される一般廃棄物を回収し、処理施設まで運搬する事業です。地域の衛生環境を守り、循環型社会の実現に欠かせない役割を担っています。
Q2. 一般廃棄物と産業廃棄物の違いは何ですか?
A. 一般廃棄物は、家庭ごみや事業所から出る紙くず・容器包装など、産業廃棄物に当たらないものです。産業廃棄物は、製造業や建設業など特定業種から排出される20種類の廃棄物で、より厳格な処理基準が設けられています。
Q3. 家庭系一般廃棄物と事業系一般廃棄物はどう違いますか?
A. 家庭系一般廃棄物は家庭から出る生ごみや紙くず、事業系一般廃棄物はオフィスや飲食店など事業活動から出るごみです。事業系は事業者に排出責任があり、多くの自治体では収集サービスの対象外となるため、許可業者への委託が必要です。
Q4. 一般廃棄物収集運搬業を営むには許可が必要ですか?
A. はい。原則として、市町村長の許可を取得しなければ一般廃棄物収集運搬業を営むことはできません。無許可で事業を行うと廃棄物処理法違反となり、罰則の対象になります。
Q5. 許可を取得するにはどんな書類が必要ですか?
A. 主に以下の書類が必要です。自治体によって詳細は異なるため、必ず担当部署に確認してください。
- 許可申請書
- 車両や運搬容器の仕様書
- 保管施設の概要
- 事業計画書
- 申請者や法人の経歴書類(過去の違反歴確認を含む)
Q6. 許可証は一度取得すればずっと有効ですか?
A. いいえ。有効期限が定められており、一定期間ごとに更新が必要です。更新時にも審査や手数料が発生するため、継続的に適正な運営が求められます。
Q7. 許可が不要となるケースはありますか?
A. 一部に例外があります。
- 古紙・くず鉄・あきびん類・古繊維の「専ら4品目」のみを扱う場合(専ら物の特例)
- 自ら排出したごみを自社車両で搬入する場合(自治体条件を満たす場合に限る)
- 市町村から正式に委託を受けた場合
ただし、範囲を誤解すると違法となるため、必ず自治体に確認が必要です。
Q8. 一般廃棄物収集運搬業と処分業の違いは何ですか?
A. 収集運搬業は廃棄物を排出場所から処理施設まで運ぶ役割です。一方、処分業は焼却や破砕、リサイクルなど実際の処理を行います。それぞれ別の許可が必要です。
Q9. 委託する業者を選ぶときの注意点は?
A. 以下の点を必ず確認しましょう。
- 許可証の有効期限
- 自治体の許可業者リストに掲載されているか
- 車両・設備をきちんと保有しているか
- 契約書の内容(料金・範囲・追加費用)が明確か
不適切な業者に委託すると、排出事業者自身も法的責任を問われる可能性があります。
Q10. 無許可業者に委託した場合、排出者も処罰されますか?
A. はい。廃棄物処理法では「排出事業者責任」が明確に定められており、不適切な委託先を選んだ場合、排出者も法令違反とみなされ罰則の対象となる可能性があります。
まとめ
一般廃棄物収集運搬業は、地域社会の衛生を守り、資源循環を支える不可欠な仕組みです。その一方で、廃棄物処理法に基づく厳格な許可制度があり、無許可での事業や不正処理は重い処罰を招きます。
新規参入を検討する事業者は、自治体ごとの基準や手続きを正確に理解し、適正な事業体制を整えることが不可欠です。また、廃棄物処理を委託する企業や個人も、業者の許可や契約条件を確認し、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。
正しい知識と適切な手続きを踏まえれば、廃棄物処理を巡るリスクを回避し、持続可能な循環型社会の実現に大きく貢献することができるでしょう。

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[著者]

経歴:2019年にエコブレインに入社。以降5年間、広報部での経験を活かし、環境保護の重要性を広めるための活動に尽力している。特にデジタルマーケティングとコンテンツ制作に強みを持ち、多くの記事を執筆している。
趣味: 読書、ヨガ、カフェ巡り
特技: クリエイティブライティング、データ分析とマーケティング戦略立案