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【2025年最新版】 特定有害産業廃棄物とは?|定義・判定基準・実務対応まで徹底解説

コラム

【2025年最新版】 特定有害産業廃棄物とは?|定義・判定基準・実務対応まで徹底解説

2025/08/19

特定有害産業廃棄物は、人体や環境に悪影響を及ぼす有害物質を含んだ廃棄物のうち、特に厳格な管理が求められるものです。廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づき、基準を超えて有害物質を含有している廃棄物は、通常の産業廃棄物とは異なる処理・管理が義務付けられています。

本記事では、特定有害産業廃棄物の基本的な定義や他の有害廃棄物との違い、対象物質の具体例、判定基準、さらには実務上の注意点や責任体制までをわかりやすく解説します。

特定有害産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の違い

まず混同しやすいのが、「特定有害産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」の違いです。どちらも人や環境への影響が大きい廃棄物ですが、法的な位置付けや対象物質が異なります。

  • 特定有害産業廃棄物は、重金属類(鉛・カドミウム・水銀など)やPCB、ダイオキシン類などを含む産業廃棄物で、「基準値を超えて含有されているかどうか」で判断されます。
  • 特別管理産業廃棄物は、爆発性・毒性・感染性などの性状から判断され、医療廃棄物、揮発性の高い廃油、強酸・強アルカリなどが該当します。


つまり、特定有害産業廃棄物は「化学的含有量」に着目した分類であり、特別管理産業廃棄物は「物理的危険性」に重きを置いた分類といえます。

特定有害産業廃棄物に該当する主な物質と種類

特定有害産業廃棄物に分類されるのは、環境省令で定められた「有害物質」を基準以上に含む以下のような廃棄物です。

  • ばいじん:焼却炉やボイラーの排ガス処理過程で発生する粉塵
  • 汚泥:排水処理設備から発生する底部沈殿物
  • 燃え殻:焼却炉などで燃焼した後に残る灰
  • 廃酸・廃アルカリ:使用済みの薬品や洗浄剤など
  • 廃油:切削油、潤滑油、燃料残渣など

これらが鉛やカドミウム、PCB、六価クロム、水銀、ダイオキシン類などの有害物質を基準値以上に含む場合、特定有害産業廃棄物と見なされます。基準値は「含有量試験」や「溶出試験」により測定されます。

なお、見た目では一般の産業廃棄物と見分けがつかないケースが多いため、化学的な分析が必要不可欠です。

特定有害産業廃棄物の発生しやすい業種

特定有害産業廃棄物は、特定の業種・工程で発生しやすい傾向があります。

  • 金属加工業:メッキや研磨工程から発生する汚泥・廃液
  • 化学工業:薬品製造や処理で発生する廃酸・廃アルカリ
  • 電気機器製造業:旧式の変圧器やコンデンサに含まれるPCB
  • 医療機関や研究施設:試薬や排水処理からの重金属混入

これらの業種では、廃棄物処理の過程で排出物に含まれる化学物質の管理体制を強化する必要があります。



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判定のための3つの基準

特定有害産業廃棄物かどうかの判断は、以下の要素を総合的に評価します。

1. 含有量試験

廃棄物にどれだけの有害物質が含まれているかを測定します。代表的な基準値として、鉛は0.15%以上、カドミウムは0.04%以上といった設定があります(数値は参考値であり、必ず最新の環境省告示等を確認してください)。

2. 溶出試験

環境中に溶け出す可能性のある有害物質の量を評価する試験です。pHを調整した液体に廃棄物を浸して、有害物質がどの程度溶出するかを測定します。


3. 由来・工程分析

発生源となる原材料や工程の履歴から、有害物質が混入している可能性を評価します。事前情報に基づき、試験の必要性を判断する重要なステップです。

判定の結果、基準値を超えていれば、「特定有害産業廃棄物」として処理する義務が発生します。

実務上の注意点とリスク管理

特定有害産業廃棄物の取り扱いでは、以下の実務対応が求められます。

マニフェスト制度の厳守

産業廃棄物処理の流れを追跡するための「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」は、電子または紙で記録し、5年間の保管が義務付けられています。記載内容に虚偽があると行政指導の対象となります。

責任の所在明確化

排出事業者(企業など)は、処理業者に委託していても最終責任を負います。委託先が不適正処理をしていた場合でも、排出者が行政処分や刑事罰を受ける可能性があります。


処理施設の適合性確認

処理委託する場合は、産業廃棄物収集運搬業および処分業の「許可品目」に該当するかを確認しましょう。特定有害産業廃棄物は許可を受けた業者でなければ運搬・処理できません。

判定に迷ったときの対応方法

  • 専門の検査機関への依頼:溶出試験や含有量試験は、地方自治体が指定する機関やISO認定のラボに外注可能です。
  • 行政機関への相談:廃棄物の種類に応じて、各都道府県の環境部局や保健所で助言を受けられます。
  • 記録保全:試験結果・分析データ・契約書などは一定期間保管し、トラブル時に備えましょう。

「該当しない」場合の注意点

仮に分析結果で特定有害産業廃棄物に「該当しない」とされた場合でも、通常の産業廃棄物として法令に則った処理が必要です。

  • マニフェストの運用
  • 適正な保管・運搬(飛散や漏洩防止)
  • 処理責任者の配置と教育
  • 再評価(設備更新・原料変更時)

「該当しない=安全」ではなく、環境保全の観点からも継続的なリスク評価が重要です。

自治体ごとの規定にも注意

特定有害産業廃棄物に関する基準は国の法令で定められていますが、実務対応は都道府県や市町村によって細かく異なることがあります。

例えば:

  • 届出様式の違い
  • 許可業者の一覧
  • 定期報告の提出義務

複数拠点で事業を展開している企業は、各自治体のルールを横断的に把握しておく必要があります。


事例紹介


特定有害産業廃棄物に関するよくある質問

Q1. 特定有害産業廃棄物と特別管理産業廃棄物はどう違うのですか?

A1.
両者は異なる分類基準で定義されています。

  • 特定有害産業廃棄物は、産業廃棄物のうち、重金属(鉛・カドミウム・水銀など)やPCB、ダイオキシン類といった有害物質が環境省令で定める基準値を超えて含まれるものを指します。
  • 一方、特別管理産業廃棄物は、爆発性・毒性・感染性など性質上の危険性が高いもので、医療廃棄物や廃酸・廃アルカリなどが該当します。

判断基準が「含有成分の濃度」か「危険性の性質」かという点で大きく異なります。

Q2. 特定有害産業廃棄物の判定方法はどうなっていますか?

A2.
以下の3つの要素に基づいて判定されます。

  1. 含有量試験:有害物質の含有濃度を測定
  2. 溶出試験:環境中に溶け出す可能性を評価
  3. 工程・由来分析:発生源や使用原材料からリスクを評価

これらの試験結果をもとに、基準値を超えた場合のみ特定有害産業廃棄物として扱われます。


Q3. 判定基準をわずかに下回っていれば通常の産業廃棄物として扱って問題ありませんか?

A3.
法的には基準値未満であれば特定有害産業廃棄物には該当しません。ただし、以下の点に留意すべきです。

  • 測定誤差や環境条件の変動によって、実際のリスクが存在する場合がある
  • 環境配慮の観点から、再検査や慎重な処理を行う企業も多い

基準値ギリギリの場合には、追加試験や行政機関への相談を推奨します。


Q4. 判定結果に疑義がある場合、どこに相談すればよいですか?

A4.
以下の機関に相談が可能です。

  • 都道府県の環境部局または保健所
  • 環境省の地方環境事務所
  • 登録された第三者検査機関や産廃コンサルタント

また、環境省の廃棄物処理法に関するQ&Aページでも基礎的な解釈が確認できます。

Q5. 特定有害産業廃棄物はどのような業種で発生しやすいのですか?

A5.
主に以下の業種・工程で発生が多く見られます。

  • 金属加工業(メッキ工程の汚泥など)
  • 化学工業(製造過程での廃液・排ガス)
  • 電機機器製造業(PCBを含む旧型設備)
  • 医療・研究施設(試薬や処理薬品に重金属)

これらの業種では、廃棄物中の有害物質含有リスクが高いため、継続的なモニタリングが推奨されます。


Q6. 特定有害産業廃棄物の処理は誰が責任を負いますか?

A6.
法令上の責任者は排出事業者です。

  • 処理を委託していても、最終責任は排出者が負います
  • 処理業者が不適正処理を行った場合でも、排出者に行政処分や罰則が及ぶ可能性があります

そのため、委託先の許可状況や実績を事前に確認することが非常に重要です。


Q7. 該当しなかった廃棄物でも注意すべき点はありますか?

A7.
はい、以下の注意点があります。

  • マニフェストの発行・管理は義務(産業廃棄物である限り)
  • 飛散・流出のリスク管理も求められます
  • 将来的に有害物質が検出された場合には再判定・再分類の必要性あり

特定有害に「該当しない」とされた場合でも、油断せず適正処理を徹底することが法令順守とCSRの観点から重要です。


Q8. 自治体によって対応が違うのはなぜですか?

A8.
特定有害産業廃棄物は国の法律で規定されていますが、運用に関する細部(届出様式・検査頻度・報告制度など)は自治体の裁量に委ねられている部分が多いためです。

そのため、複数の都道府県に事業所がある場合は、それぞれの自治体の規定を個別に確認し、地域ごとのルールに即した運用を心がける必要があります

まとめ:法令と環境リスクの両立を意識した管理体制を

特定有害産業廃棄物は、見た目では判断できず、専門的な分析や法律知識が求められる領域です。
誤った取り扱いは、環境汚染や法令違反といった重大なリスクを招きます。

事業者は、発生する廃棄物に何が含まれているのかを常に把握し、必要に応じて分析・報告・専門機関との連携を行う体制を構築することが求められます。環境保全の責任を果たすとともに、企業としての社会的信頼を守るためにも、特定有害産業廃棄物への理解と管理を徹底しましょう。


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[著者]

Y・T

名前: 鈴木 音葉 (Otoha Suzuki)
経歴:2019年にエコブレインに入社。以降5年間、広報部での経験を活かし、環境保護の重要性を広めるための活動に尽力している。特にデジタルマーケティングとコンテンツ制作に強みを持ち、多くの記事を執筆している。
趣味: 読書、ヨガ、カフェ巡り
特技: クリエイティブライティング、データ分析とマーケティング戦略立案

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