廃棄物担当者向け:管理型混合廃棄物の処理フローと法的注意点を解説

企業活動や建設工事などで日常的に発生する産業廃棄物。
その中でも「管理型混合廃棄物」は、環境への影響が大きく、特に厳しい管理体制のもとで処理が求められる廃棄物です。複数の廃棄物が混在することで成分が複雑化し、有害物質の溶出や腐敗による悪臭、地下水汚染などのリスクが懸念されます。
本記事では、管理型混合廃棄物の基本的な性質と、他の廃棄物との違い、発生業種や処理の流れ、マニフェスト管理の重要性、処理コスト、さらにはリサイクルの可能性までをわかりやすく解説します。適正処理を通じて企業のコンプライアンスと環境保全を両立させるための基礎知識を身につけましょう。
管理型混合廃棄物とは
「管理型混合廃棄物」とは、産業廃棄物のうち複数の種類が混在し、その中に有害性や分解性が懸念される成分を含むものを指します。たとえば、金属くずや廃プラスチック、紙くずに加えて、腐敗しやすい有機物や塗料・油分が付着した部材などが混ざることで、処理時に環境への影響が懸念されます。
このような廃棄物は「管理型最終処分場」で埋立処理を行う必要があり、処理業者には都道府県の厳格な許可が必要です。また、排出事業者にも適切な分別とマニフェスト管理が義務付けられています。
他の混合廃棄物との違い
安定型混合廃棄物との比較
安定型混合廃棄物は、がれき類、ガラスくず、陶磁器くず、廃プラスチックなど、腐敗や溶出のリスクが低い成分で構成されており、安定型最終処分場に埋立可能です。一方、管理型混合廃棄物は、時間の経過で分解したり、地下水に有害物質を溶出させる可能性のある成分を含みます。
そのため、管理型は「長期的な環境リスクを伴う」と判断され、処理コストや手間も高くなります。
建設混合廃棄物との違い
建設混合廃棄物とは、建設工事に伴って発生する複数種類の廃材(木材、コンクリートくず、金属くずなど)が混在した廃棄物の総称です。内容によっては管理型混合廃棄物に該当することもあります。
重要なのは、発生段階での分別徹底。分別が甘いと、管理型としての処理が必要になり、費用とリスクが増大します。建設現場では、発生源ごとに素材を把握し、再利用可能なものと管理型対象のものを明確に分ける必要があります。
管理型混合廃棄物の具体例
以下のような廃棄物は、管理型混合廃棄物として扱われることがあります。
- バッテリー付き電子機器:重金属など有害成分を含む
- 塗料や油分が付着した金属くず
- 食品工場からの腐敗性廃棄物
- 解体現場から出た複合素材の建材
- 化学薬品が混入した機械部品や設備くず
これらはいずれも、焼却・中和などの特別な処理が必要であり、無分別で埋立処分することはできません。

発生しやすい業種と背景
管理型混合廃棄物が多く排出される業種には、以下のようなものがあります。
- 建設業:解体工事や新築工事では、多種多様な廃棄物が一度に発生し、分別が難しくなります。
- 製造業:部品や材料に複数の素材が使用されており、混在しやすい環境です。
- 食品加工業:有機物を多く含むため、腐敗や悪臭、微生物繁殖のリスクが高い廃棄物が発生します。
- 化学工場・製油所:化学物質が付着した混合物が多く、特別な処理が求められます。
- 商業施設・ホテル:厨房廃棄物やリニューアル時の建材などが一度に大量に排出されることがあります。
適正な処理フローと法的要件
管理型混合廃棄物の処理は、以下のような流れで行われます。
- 排出事業者による分別と分類
- マニフェストの交付と処理業者への委託
- 処理業者による前処理(選別・破砕・焼却)
- 最終処分(管理型最終処分場での埋立)
この過程では、処理業者が産業廃棄物処理業の「収集運搬」および「処分」それぞれの許可を取得している必要があります。また、マニフェストによって廃棄物の流れを記録・管理し、不正やトラブルを未然に防ぐことが求められます。
分別の徹底とマニフェスト管理の重要性
管理型混合廃棄物は、発生段階での「適切な分別」が処理全体のコストやリスクを大きく左右します。誤って不適正な区分で処理された場合、廃棄物処理法に違反する可能性があり、行政処分や罰則の対象となることもあります。
また、マニフェスト管理は、排出から最終処分までの処理状況を可視化する手段です。処理業者が適切に処理しているかを確認するうえで、必須の仕組みです。
費用相場とコスト要因
管理型混合廃棄物の処理費用は、以下の要因で変動します。
- 廃棄物の重量・体積
- 有害物質の含有有無
- 処理工程の複雑さ(破砕・選別・焼却など)
- 収集運搬距離
- 分析費・溶出試験費などの追加費用
一般的に、管理型混合廃棄物は他の混合廃棄物よりも処理単価が高くなる傾向があります。安定型最終処分場では対応できないため、管理型処分場での処理となるぶん、設備・人件費もかかります。
業者を選ぶ際は、見積もり金額だけでなく、許可の有無やマニフェスト管理の精度なども含めて判断することが重要です。
一般廃棄物との違いと誤解への注意
管理型混合廃棄物と一般廃棄物を混同すると、重大な法令違反につながります。
- 一般廃棄物:家庭や事業所の日常活動から発生する廃棄物(紙くず・生ごみなど)で、市町村が処理責任を負います。
- 管理型混合廃棄物:事業活動に伴う産業廃棄物で、内容によっては高度な処理とマニフェスト管理が求められます。
許可を持たない一般廃棄物処理業者に管理型混合廃棄物を委託すると、排出事業者にも責任が及びます。法的責任だけでなく、環境汚染や企業イメージの毀損にもつながりかねません。
再資源化・リサイクルの可能性
管理型混合廃棄物の中にも、適切に分別すればリサイクル可能な素材が含まれています。近年では、以下のようなリサイクル技術が進化しています。
- 金属くずの再資源化
- プラスチックのケミカルリサイクル
- 可燃ごみの熱回収(サーマルリサイクル)
排出段階での分別精度を高めることで、管理型としての処理が不要になるケースもあり、コスト削減や環境保全に寄与します。
廃棄物削減に向けた企業・自治体の取り組み
- 製造業では、工程ごとに発生する廃棄物の分離・可視化を進めることで、無駄な混合を回避。
- 自治体は、事業者向けの分別ガイドラインや無料セミナーを実施し、処理の質向上を支援。
- 地域単位で廃棄物を集約し、中間処理施設で効率的に再資源化する官民連携モデルも増加中。
これらの取り組みは、持続可能な資源循環型社会の構築に貢献しています。

管理型混合廃棄物に関するよくある質問
Q1. 管理型混合廃棄物とは何ですか?
A1. 管理型混合廃棄物とは、複数の産業廃棄物が混在しており、腐敗や有害物質の溶出などにより環境負荷の可能性がある廃棄物です。たとえば、金属くずや廃プラスチックに油分や塗料が付着している場合や、腐敗性の有機物が混じっている場合などが該当します。管理型最終処分場での処理が求められます。
Q2. 管理型混合廃棄物と安定型混合廃棄物の違いは?
A2. 主な違いは「環境への影響度」です。安定型混合廃棄物は、がれきやガラス、廃プラスチックなど環境負荷の低い成分で構成され、安定型最終処分場での処理が可能です。一方、管理型は分解や溶出の可能性がある成分を含むため、管理型最終処分場での厳重な管理が必要です。
Q3. どのような業種で管理型混合廃棄物が多く発生しますか?
A3. 主に建設業、製造業、食品加工業、化学工場、ホテル・商業施設などが該当します。建設現場の解体材や製造工程で発生する複合素材、厨房廃棄物、油分や薬品が混入した機器などが混在するため、管理型に分類されやすいです。
Q4. 管理型混合廃棄物の処理にはどんな許可が必要ですか?
A4. 処理業者は、「産業廃棄物処分業(管理型)」の許可を自治体から取得していなければなりません。また、収集運搬にも専用の許可が必要です。排出事業者は、処理を委託する際にその業者が法的に対応可能かどうかを事前に確認する義務があります。
Q5. マニフェストの使用は義務ですか?
A5. はい、義務です。管理型混合廃棄物を含む産業廃棄物の処理には、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行と管理が法律で義務付けられています。排出から最終処分までの流れを追跡し、適正な処理が行われたことを証明する手段です。
Q6. どのような処理工程を経て最終処分されますか?
A6. 通常、以下の工程を経て処理されます。
- 排出事業者による分類・分別
- 許可業者による収集・運搬
- 中間処理施設での選別・破砕・焼却
- 有害成分の除去後、管理型最終処分場で埋立
処理工程は廃棄物の性状によって変わるため、適切な判断が求められます。
Q7. 費用はどれくらいかかりますか?
A7. 含まれる成分の種類や有害性、重量・体積、処理方法、収集運搬距離などによって費用は大きく異なります。安定型廃棄物に比べて管理型の方がコストは高くなる傾向があります。事前の見積もりと複数業者の比較が重要です。
Q8. 管理型混合廃棄物を誤って一般廃棄物として処理するとどうなりますか?
A8. 法律違反となり、排出事業者・処理業者ともに行政処分や罰則の対象となります。環境汚染や近隣への悪臭・地下水汚染などの被害が出た場合、民事上の賠償責任を問われる可能性もあります。
Q9. リサイクルは可能ですか?
A9. 一部の成分(たとえば金属やプラスチックなど)は、分別・洗浄・加工により再資源化が可能です。近年は、ケミカルリサイクルや熱回収などの技術も進化しており、管理型から再資源型への転換が進んでいます。ただし、分別精度が重要です。
Q10. 管理型混合廃棄物の発生を減らすにはどうすればいいですか?
A10. 廃棄物の発生段階で分別を徹底し、混合を最小限に抑えることが有効です。製造工程の見直しや資材管理の工夫、分別マニュアルの整備などが発生抑制につながります。自治体の指導や外部専門家によるコンサルティングを活用することも効果的です。
まとめ
管理型混合廃棄物は、複数の素材が混在し、有害性・分解性などにより環境リスクが高まる産業廃棄物です。処理には都道府県の許可が必要であり、マニフェストによる処理履歴の管理も義務付けられています。
しかし、排出段階での適切な分別と、再資源化技術の導入によって、環境負荷とコストを大きく削減することが可能です。企業や自治体が一体となって管理体制を強化し、法令を遵守しながら循環型社会の実現に向けた取り組みを継続することが、今後ますます重要となるでしょう。

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[著者]

経歴:2019年にエコブレインに入社。以降5年間、広報部での経験を活かし、環境保護の重要性を広めるための活動に尽力している。特にデジタルマーケティングとコンテンツ制作に強みを持ち、多くの記事を執筆している。
趣味: 読書、ヨガ、カフェ巡り
特技: クリエイティブライティング、データ分析とマーケティング戦略立案