【飲食店・オフィス向け】事業系生ごみの適正処理とコスト管理

事業活動から排出される生ごみは、腐敗や悪臭、衛生上のリスクを伴う厄介な存在であり、適切な管理が企業にとって重要な課題です。特に飲食店や食品を扱う小売業では、生ごみの処理方法によって、企業の信頼性や職場環境に大きな差が生じます。
本記事では、事業系一般廃棄物としての生ごみの正しい取り扱い方法や処理ルール、コスト管理、リサイクル対策までを解説します。法令を順守し、環境に配慮した経営を実現するための基礎知識としてお役立てください。

事業系一般廃棄物と産業廃棄物の違い
事業活動で発生するごみは、「事業系廃棄物」に分類されますが、その中でも家庭ごみと性質が似たものは「事業系一般廃棄物」、製造・建設・医療などに伴い排出されるものは「産業廃棄物」として区分されます。
事業系一般廃棄物には、主に以下のようなものが含まれます。
- 生ごみ(飲食店の調理くず・食べ残しなど)
- 紙くず
- 木くず(軽微な什器や梱包材)
- その他可燃・不燃ごみ(プラスチックやガラスなど、一定条件下)
一方、産業廃棄物は廃棄物処理法で定められた20種類に限定され、処理には専門業者と委託契約を結ぶことが義務付けられます。
企業がまず行うべきは、自社で排出される廃棄物がどの分類に該当するかを正確に把握することです。
生ごみが事業系一般廃棄物となるケース
事業活動で発生する生ごみ(飲食店の調理くず、社内の食堂から出る残飯など)は、産業廃棄物に該当しない限り、事業系一般廃棄物に分類されます。これを一般家庭と同様の方法で廃棄すると、廃棄物処理法違反にあたる可能性があるため注意が必要です。
適正処理のためには、自治体の規定に従い、収集運搬許可を持つ業者に委託するか、事業者自身で清掃工場などへ持ち込む「自己搬入」が必要です。

排出事業者の法的責任
廃棄物処理法では、事業者が自ら排出した廃棄物の適正処理を行うことが義務付けられています。これには以下のような責任が含まれます。
- 分別の徹底
- 正規ルートでの処理(許可業者への委託または自己搬入)
- 処理記録の管理
- 社内ルールの整備と従業員への周知
不法投棄や無許可業者への委託が発覚した場合、50万円以下の罰金や社会的信用の失墜など、重大なペナルティを受ける恐れがあります。特に飲食業などは、店舗イメージや営業許可への影響も懸念されます。
生ごみの保管・分別のポイント
生ごみは腐敗しやすく、放置すれば悪臭や害虫発生の原因となります。衛生的かつ効率的に処理するには、以下の工夫が必要です。
- 水気をよく切る:臭いや腐敗の進行を防止
- 密閉できる専用容器に保管:害虫や鼠の侵入を防ぐ
- 冷暗所での保管または短期間での排出:衛生管理を徹底
- 社内ルールを明確化し掲示する:従業員全体で分別の徹底を図る
加えて、容器や袋には「生ごみ」「可燃ごみ」などのラベル表示を行い、排出元や廃棄物の種類が明確になるようにしておくと、回収時のトラブル防止にも役立ちます。
委託処理と自己搬入の使い分け
事業系一般廃棄物の処理方法には、以下の2つがあります。
- 収集運搬業者への委託
自治体または許可を受けた民間業者に依頼
定期収集で手間が少ないが、費用がかかる - 自己搬入
清掃工場や処理施設に事業者が直接持ち込む方法
柔軟な対応が可能でコストが抑えられる一方、手間と時間がかかる
排出量が多い業種では、委託・搬入の併用や、処理費用を抑えるためのスケジュール管理が鍵となります。
環境負荷を減らす生ごみのリサイクル方法
近年、環境配慮の観点から、生ごみを資源として再利用する動きが広がっています。具体的には以下の方法があります。
- 堆肥化(コンポスト):生ごみを発酵させ、肥料として再利用
- 飼料化:調理くずなどを家畜のエサに再加工
- バイオガス化:生ごみをメタン発酵させて発電利用
これらの方法は、食品リサイクル法に基づき、食品関連事業者には推進義務がある場合もあります。排出量が多い事業者は、リサイクル対応業者と連携し、環境貢献と処理コストの削減を両立することが可能です。
食品リサイクル法の対象と対応義務
「食品リサイクル法」は、食品廃棄物の発生抑制・再利用を目的とした法律です。年間100トン以上の食品廃棄物を出す事業者は、以下の取り組みが義務化されています。
- 食品廃棄物の再資源化率の目標達成
- 発生抑制のための社内体制構築
- 実績報告の提出
対象外の事業者でも、自主的な取り組みが企業の社会的信用につながります。とくにSDGsやESG投資への対応が求められる近年では、環境配慮の姿勢を示すことが経営戦略にもなり得ます。
自治体の収集ルールと費用の把握
自治体によっては、事業系生ごみ専用の回収曜日やエリアが定められており、一般家庭のごみとは別ルートで回収されます。料金体系は自治体ごとに異なり、
- 重量課金制(kg単位)
- 容積制(袋や容器の大きさで課金)
- 定額制(月額契約)
などが採用されています。自社の排出量や業態に応じて、最も合理的な方法を選ぶ必要があります。自治体のホームページや担当窓口で事前確認を徹底しましょう。

事業系一般廃棄物としての生ごみ処理に関するよくある質問
Q1. 生ごみを家庭ごみとして出しても問題ありませんか?
A1.
いいえ、事業活動で発生した生ごみは「事業系一般廃棄物」に該当し、家庭ごみとして出すことは廃棄物処理法違反となります。自治体に収集を依頼するか、許可を受けた収集運搬業者への委託、または自己搬入によって適切に処理する必要があります。
Q2. 生ごみの処理は自治体に頼めますか?
A2.
自治体によっては事業系一般廃棄物の収集サービスを提供している場合があります。ただし、事前の契約や登録が必要です。自治体が対応していない場合は、許可を受けた民間業者に依頼しましょう。事前に自治体の窓口や公式サイトで確認することが重要です。
Q3. 生ごみの分別ルールにはどんな注意点がありますか?
A3.
水分をよく切ってから専用の袋または容器に入れ、他のごみ(プラスチック・紙くず等)と混ぜないことが基本です。さらに、分別ルールを社内に周知し、従業員全体で統一した対応を取ることが求められます。
Q4. 許可業者に委託するときの注意点は?
A4.
「一般廃棄物処理業の許可」を持つ業者かどうかを必ず確認しましょう。産業廃棄物の許可業者とは異なるため、誤って依頼すると処理が違法となるリスクがあります。契約時には許可証の提示を受け、サービス内容や費用、対応エリアも比較検討しましょう。
Q5. 生ごみは冷蔵庫などで保管した方がいいですか?
A5.
冷蔵・冷凍による一時保管は、腐敗や悪臭、虫の発生を抑える有効な方法です。とくに気温の高い季節や排出頻度が少ない場合は、衛生面の対策としておすすめされます。
Q6. 生ごみの再利用(リサイクル)にはどんな方法がありますか?
A6.
主に以下の方法があります。
- 堆肥化(肥料として再利用)
- 飼料化(家畜のエサとして再加工)
- バイオガス化(発酵させてエネルギー利用)
食品リサイクル法に対応した処理業者と連携することで、環境への負荷を軽減しつつ企業の社会的責任も果たせます。
Q7. 自己搬入と業者委託、どちらがお得ですか?
A7.
少量の場合は自己搬入の方が安価に済むこともありますが、人件費や移動時間を考慮すると、定期的な回収を委託した方が効率的な場合もあります。処理量や業態、立地条件によって最適な方法を選ぶことが大切です。
Q8. 社内での教育や周知はどうすればよいですか?
A8.
以下のような方法が効果的です。
- 社内掲示物でルールを明示
- ごみ箱に分別ラベルを貼る
- 定期的な研修会や説明会を実施
- 新人教育で廃棄物処理ルールを組み込む
社員全体の意識を高めることで、分別ミスや不適切な処理を防ぎ、衛生・法令遵守の両面で効果が期待できます。
まとめ:正しい処理が企業の信頼と持続性を支える
生ごみは毎日のように発生する身近な廃棄物ですが、その管理には法律・衛生・コスト・環境と多角的な配慮が必要です。
- 廃棄物の正確な分類と社内での分別徹底
- 自治体ルールと法律の理解・遵守
- 収集・搬入方法の選定と見直し
- リサイクルや資源化の導入による環境貢献
- 食品リサイクル法を意識した対応体制の構築
これらを踏まえて事業系一般廃棄物の生ごみ処理を適正に行うことは、企業の社会的責任を果たすうえでも不可欠です。効率的な処理と持続可能な経営を両立するため、日常業務に即した実践的な対策を講じていきましょう。

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[著者]

経歴:2019年にエコブレインに入社。以降5年間、広報部での経験を活かし、環境保護の重要性を広めるための活動に尽力している。特にデジタルマーケティングとコンテンツ制作に強みを持ち、多くの記事を執筆している。
趣味: 読書、ヨガ、カフェ巡り
特技: クリエイティブライティング、データ分析とマーケティング戦略立案