介護施設における廃棄物管理の基本|分類ルールと経費を抑える実践術

介護施設では、日々多種多様なごみが排出されます。
これらのごみは、家庭ごみとは異なる法的ルールが適用され、処理方法を誤ると衛生面の悪化や費用の増加、さらには法令違反に発展する可能性があります。
本記事では、介護施設のごみ処理に必要な基礎知識、法令遵守のポイント、そしてコストを抑える運用方法までを総合的に解説します。
介護施設から排出される主なごみの種類と区分
介護施設から排出されるごみは、大きく「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類されます。
- 事業系一般廃棄物:入居者の日常生活に伴うごみ(生ごみ、紙ごみ、容器包装など)
- 産業廃棄物:医療・介護行為に伴い発生するおむつ(血液・体液付着あり)、注射針などの感染性廃棄物
これらは、発生源と性質によって法的区分が異なり、適切な処理ルールを把握しておくことが求められます。
施設内ではこのような分類をスタッフ全員が把握し、日常的に実践することが、施設の衛生管理および法令遵守の第一歩です。特に夜勤などスタッフが少ない時間帯にも対応できるよう、マニュアルやチェックリストを整備しておくと安心です。
感染性廃棄物の適正な管理
血液や体液が付着した紙おむつや医療器具は、感染性廃棄物として厳格な処理が必要です。
- 専用の容器や袋で密閉し、施設内での一次保管時にも密封状態を保つ
- 法令に基づき、都道府県の許可を受けた業者に委託
- マニフェスト制度による収集・運搬・処分の追跡管理を徹底
こうした対応を怠ると、廃棄物から感染が広がるリスクがあり、入居者だけでなくスタッフや近隣住民に健康被害を及ぼす恐れもあります。
また、感染性廃棄物の管理には費用もかかるため、無駄な排出を防ぐ工夫も求められます。例えば、汚染のない紙おむつは一般廃棄物として処理できるため、明確な区別を行うことで処理費用の抑制につながります。

ごみ処理におけるよくある課題と対応策
1. 臭いや衛生環境の悪化
- 使用済みおむつや食品ごみは速やかに回収・密閉保管
- 消臭剤や専用ごみ箱の導入
- ごみ置き場の定期清掃と換気の徹底
特に夏場は臭気の拡散が早いため、回収頻度の増加やごみの冷却保管などの工夫が重要です。
2. 退去時の粗大ごみ対応
- ベッド、車いす、家具などの処分には時間と費用がかかる
- 家族との事前合意と施設内でのルール整備が不可欠
- 自治体や業者と連携したスムーズな回収体制の構築
3. スタッフ間での情報共有不足
- 分別ルールのポスター掲示
- 定期的な教育・研修の実施
- 業務マニュアルの更新と配布
分別ミスや処理の遅れは、スタッフ間の認識のズレが原因となることもあります。常に最新の情報を全員が共有できる環境づくりが重要です。
法令遵守と廃棄物処理責任
排出事業者責任の原則
介護施設は、排出したごみの処理が適正に完了するまで責任を負います。廃棄物処理法に基づき、以下の対応が求められます。
- 契約内容の確認と管理
- 委託業者の許認可の有無確認
- マニフェスト伝票による追跡管理
これらの対策は、施設管理者の責任範囲として法律上明記されており、違反した場合は罰則や業務停止の対象となることもあります。
自治体ごとのルール把握
自治体により、事業系一般廃棄物の分別基準や収集方法が異なる場合があります。最新の情報は、自治体の公式ウェブサイトまたは担当部署に確認を行いましょう。
また、介護施設の立地によっては、民間収集業者の利用が必須となることもあり、その際のルールや価格設定についても把握しておく必要があります。
処理業者の選定と契約ポイント
業者選びの基準
- 感染性廃棄物の取扱実績があるか
- 都道府県の許可を保有しているか
- サービス内容(回収頻度・容器提供・緊急対応など)の柔軟性
費用比較と相見積もり
- 回収頻度や容器の種類に応じて費用が変動
- 基本料金・追加料金・契約期間を比較
- コストだけでなく対応力や信頼性も重視
契約時には必ずサービス詳細を明記した契約書を交わし、必要であれば施設側の要望を文書化しておくことで、後々のトラブル回避につながります。
現地調査とスケジュール調整
契約前には必ず業者による現地調査を実施し、施設の規模やごみの種類に合った処理プランを設計してもらいましょう。スケジュール調整の柔軟性や、緊急時の対応体制についても事前に確認しておくことが望ましいです。
コスト削減のための工夫
- ごみの分別徹底で産廃量の削減(例:おむつの仕分け徹底)
- リサイクル可能資源(段ボール、空き缶等)の分離排出
- ごみ回収スケジュールの最適化
- 回収頻度の見直しによる人件費削減
- ごみ容器の選定による保管効率の向上
また、施設運営においては日々の業務改善の一環として、「ごみ処理チェックリスト」の導入や、コスト推移の見える化(管理表の作成)なども、経営的な視点から有効です。

介護施設におけるゴミ処理に関するよくある質問
Q1. 介護施設から出るゴミは、家庭ごみと同じように出してもいいの?
A1.
いいえ。介護施設から出るゴミは「事業系一般廃棄物」として扱われ、家庭ごみとは処分方法が異なります。市区町村の通常の家庭ごみ収集では回収されないため、許可を受けた収集運搬業者に依頼する必要があります。
Q2. 医療的ケアを伴う施設ですが、感染性廃棄物の扱いはどうすればよいですか?
A2.
感染性廃棄物(血液が付着したガーゼや注射器など)は、「医療廃棄物」として特別管理産業廃棄物に分類されます。これらは専門の処理業者に委託し、マニフェスト制度に従って処理過程を管理する必要があります。
Q3. 食品残さや生ゴミの処理で気をつけるべき点は?
A3.
生ゴミは悪臭や害虫の発生源になるため、密閉容器に入れてこまめに排出しましょう。また、廃棄物削減の観点からもリサイクル(堆肥化や飼料化)可能な回収ルートがあるかを検討することも有効です。
Q4. 古紙やペットボトルなどのリサイクル資源はどう扱えばいい?
A4.
介護施設ではリサイクル可能な資源も多く出ます。自治体のガイドラインや回収業者の指示に従い、適切に分別・保管することが重要です。業者によっては資源物の無料回収を行っている場合もあるため、コスト削減にもつながります。
Q5. ゴミ処理にかかる費用はどれくらい?
A5.
処理費用は廃棄物の種類や排出量、地域、委託業者によって異なります。定期収集契約を結ぶ場合は、月額で数千円~数万円が一般的です。複数の業者から見積もりを取り、コストと信頼性のバランスを見て選定することが推奨されます。
Q6. ゴミ処理の契約先を選ぶときのポイントは?
A6.
以下の点を確認しましょう。
- 地元自治体から産業廃棄物収集運搬業の許可を得ているか
- 処理証明書や契約書をきちんと発行してくれるか
- マニフェストの運用に対応しているか(医療廃棄物処理を行う場合)
- トラブル時の対応や保険加入の有無
Q7. 職員が個人でゴミを持ち帰って処分するのは問題?
A7.
はい、原則としてNGです。事業活動で生じた廃棄物は、施設として責任を持って処分しなければなりません。無許可での運搬や処分は法令違反になる可能性があります。
Q8. 入居者の私物(衣類や家具など)の処分は誰が行うの?
A8.
入居者の私物は、原則として家族や身元引受人が処分するのが基本です。ただし、本人や家族の同意がある場合や契約内容によっては施設側が処分するケースもあります。事前に契約書で対応範囲を明確にしておくことが重要です。
Q9. 廃棄物処理法に違反した場合、どんなリスクがある?
A9.
不法投棄や無許可業者への委託など、違反があった場合は施設責任者に対して罰金・懲役刑が科される可能性があります。また、施設の評判や信頼にも大きな悪影響を及ぼすため、法令遵守が必須です。
まとめ|介護施設の安心・安全な運営のために
介護施設のごみ処理は、衛生管理・法令遵守・コスト管理のすべてに関わる重要な業務です。正しい知識を持ち、スタッフ全員で処理体制を整えることで、利用者にとって快適で安全な生活環境を守ることができます。
定期的な見直しと改善を怠らず、信頼できる業者と連携しながら、施設運営におけるごみ処理の最適化を進めましょう。
高齢者施設は利用者の健康と安心を守る場所です。その責任を果たすためにも、適正な廃棄物処理体制は「見えない安全」の基盤となります。

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[著者]

経歴:2019年にエコブレインに入社。以降5年間、広報部での経験を活かし、環境保護の重要性を広めるための活動に尽力している。特にデジタルマーケティングとコンテンツ制作に強みを持ち、多くの記事を執筆している。
趣味: 読書、ヨガ、カフェ巡り
特技: クリエイティブライティング、データ分析とマーケティング戦略立案