産業廃棄物マニフェストの基礎知識|制度の流れと企業が守るべきこと

企業が事業活動を行う中で出る「産業廃棄物」は、私たちの生活環境や健康に影響を与える可能性があるため、法律に基づいて正しく処理する必要があります。
そのときに使われるのが「産業廃棄物マニフェスト」という管理票です。
難しそうに聞こえますが、実は「誰が、どのような廃棄物を、どこに運び、どう処理したのか」を記録して確認する仕組みと考えれば簡単です。
この記事では、初心者の方にもわかりやすいように、マニフェスト制度の目的や使い方、紙と電子の違い、注意点などをできるだけわかりやすく解説します。
当社は、環境省認定の「優良産廃処理業者」と連携し、
信頼性の高い業者をご紹介しています。
法令遵守はもちろん、コストや処理内容もお客様に最適なプランでご提案。
安心・確実なマニフェスト管理をサポートいたします!

マニフェストってなに?制度の基本を解説
マニフェスト制度とは
「マニフェスト」とは、産業廃棄物の処理状況を記録するための管理票のことです。正式には「産業廃棄物管理票」といい、排出した廃棄物が適切に処理されたかどうかを、紙または電子データで記録・確認するしくみです。
この制度が導入された背景には、不法投棄の問題があります。以前は、処理業者が適正に処理せず山や空き地に捨てるといった事例がありました。こうした問題を防ぐために、「排出した企業が、処分の最後まで責任を持つ」ことを求める制度がつくられました。
紙と電子、2種類のマニフェストの違いとは?
紙マニフェストの特徴
紙マニフェストは、複写式の用紙を使って記録を行う方法です。1枚の伝票を何枚にも複写して、それぞれを排出事業者・運搬業者・処分業者が保管します。
メリット
- 特別なシステムが不要
- 手書きで運用できる
デメリット
- 記入ミスや紛失のリスクがある
- 複数人で確認しにくい
電子マニフェストの特徴
電子マニフェストは、インターネットを通じて専用システムにデータを入力・管理する方法です。JWセンター(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)が運営する「JWNET」というシステムが主に使われています。
メリット
- リアルタイムで確認できる
- 保存・検索がしやすい
- 紛失や記入ミスのリスクが少ない
デメリット
- システム導入や操作に慣れる必要がある
- 利用料がかかる
制度の目的と企業に求められる責任
マニフェスト制度の目的は「不法投棄や不適正な処理の防止」です。産業廃棄物には有害な成分が含まれることもあるため、処理方法を誤ると環境や人への悪影響が懸念されます。
法律(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)では、排出事業者に対してマニフェストの交付と管理が義務付けられており、違反した場合は罰則が科されることもあります。
企業は廃棄物を出した後も、最終処分が終わるまで「きちんと処理されたかどうか」を確認する責任があります。
紙マニフェストの流れをわかりやすく紹介
- 交付(排出事業者 → 運搬業者)
廃棄物を運び出すときに、排出事業者がマニフェストを記入して運搬業者に渡します。 - 運搬(運搬業者 → 処分業者)
運搬業者は処分場へ運び、マニフェストに必要事項を記入します。 - 処分と返送(処分業者 → 排出事業者)
処分が終わったら、処分業者がマニフェストに処分完了の記録を記入し、排出事業者に返送します。
ポイント:
- 各業者がしっかりと記入・確認することが重要です
- 返送されてこない場合は、排出事業者が確認する義務があります
電子マニフェストを導入する企業が増えている理由
電子マニフェストの導入企業は年々増えています。とくに以下の理由から注目されています。
- 情報をリアルタイムで確認できる
- 管理が効率化され、作業ミスが減る
- ペーパーレスで省スペース
- 長期保存がしやすく監査にも対応しやすい
導入時には操作方法の習得や初期費用がかかりますが、長期的にはメリットが大きいと評価されています。
保管期間と注意点:法律で「5年間」の保存が必要
マニフェストは法律で「5年間の保存」が義務付けられています。これは紙でも電子でも同じです。
紙マニフェストの保管注意点:
- 湿気や破損に注意し、ファイルやキャビネットで保管
- 読みづらい文字はトラブルのもとになるので、丁寧な記入を
電子マニフェストの保管注意点:
- システム障害に備えて定期バックアップを実施
- 操作履歴やログイン権限の管理も重要
保存期間終了後は、社内規定に従って安全に廃棄・削除しましょう。
よくあるミスとその対策
- 記入ミス(品目や数量の誤記)
→ チェックリストを作成してダブルチェックを習慣にしましょう - 処分先の住所や名称の記入ミス
→ 業者情報は事前に確認し、マスタ登録するのがおすすめです - 返送漏れや確認忘れ
→ 進捗を管理する担当者を決め、期限をカレンダーで管理しましょう
マニフェストの購入方法と費用
紙マニフェスト
- 購入場所:全国産業資源循環連合会、オンラインショップなど
- 費用:1冊あたり数百円〜(枚数により異なる)
電子マニフェスト
- 契約先:JWセンター(JWNET)
- 費用:登録料や年会費、利用件数に応じた従量料金制
トラブル時の対応と再発行の可否
- 紙マニフェストを紛失した場合
→ 速やかに関係業者に報告し、再記入やコピーを取って対応します。 - 電子マニフェストの場合
→ システム内で記録されているため、履歴の追跡や修正が可能です。
再発行や再記入は手間がかかるため、まずは紛失や誤記を防ぐ体制づくりが大切です。
産業廃棄物マニフェスト制度に関するよくある質問
Q1. 産業廃棄物マニフェストとは何ですか?
A1.
産業廃棄物マニフェストとは、廃棄物の排出事業者が、委託先の収集運搬業者や処分業者に対して、どのような廃棄物を、誰が、どこで、どのように処理するかを記録・管理するための制度です。廃棄物が適切に処理されたことを確認するために活用されます。
Q2. マニフェストにはどんな種類がありますか?
A2.
マニフェストには以下の2種類があります。
- 紙マニフェスト(管理票):6枚複写式の伝票形式でやり取りする方式。
- 電子マニフェスト:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)のシステムを利用し、インターネット上でやり取り・管理する方式。
Q3. マニフェストは誰が発行するのですか?
A3.
マニフェストは排出事業者(廃棄物の出し手)が発行します。廃棄物の種類や処分方法など必要事項を記載し、収集運搬業者や処分業者に交付します。
Q4. マニフェストはすべての産業廃棄物に必要ですか?
A4.
マニフェストの使用は、産業廃棄物を他社に委託して処理する場合に義務付けられています。ただし、自社内で処理する場合や、特別管理産業廃棄物以外で少量のものについては一部例外があります。
Q5. マニフェストの保存義務期間はどのくらいですか?
A5.
紙マニフェスト・電子マニフェストともに、交付の日から5年間の保存が法律で義務付けられています。排出事業者だけでなく、収集運搬業者・処分業者も同様です。
Q6. マニフェストの返送がない場合、どうすればよいですか?
A6.
マニフェストが返送されない場合、排出事業者は適切な処理が行われていない可能性があるとみなし、確認と是正措置を行う義務があります。一定期間内(通常90日以内)に返送がないと、「未達報告」が必要になるケースもあります。
Q7. 電子マニフェストを利用するメリットは?
A7.
電子マニフェストを利用することで、
- 紙の保管や返送処理の手間を削減
- 処理状況のリアルタイム管理が可能
- 法定報告書の自動作成が可能
などのメリットがあります。また、法令違反のリスクを減らす効果もあります。
Q8. 電子マニフェストの利用にはどんな準備が必要ですか?
A8.
電子マニフェストを利用するには、以下の準備が必要です。
- JWセンターへの加入と登録(加入者番号と公開パスワードが発行されます)
- 利用料の支払い
- インターネット環境と操作端末の整備
必要に応じて、専用ソフトウェアや外部システムとの連携も検討されます。
Q9. マニフェストの記載ミスを見つけた場合の対応は?
A9.
記載ミスを見つけた場合は、すぐに訂正が必要です。
紙マニフェストの場合は訂正印を押し、正確な内容に修正します。電子マニフェストの場合は、内容を修正できる期限内であればデータの修正を行います。
Q10. マニフェストに関する罰則はありますか?
A10.
あります。例えば以下のような場合には罰則が科せられることがあります。
- マニフェストを交付しなかった場合
- 虚偽の記載をした場合
- 保存義務を怠った場合
罰則内容は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金など、廃棄物処理法に基づき処罰されることがあります。
まとめ:マニフェスト制度は「未来の地球」を守る仕組み
産業廃棄物マニフェスト制度は、企業が社会的責任を果たすうえで欠かせない仕組みです。環境保全の観点だけでなく、企業の信頼性向上やリスク管理にもつながります。
初心者の方でも制度の仕組みを理解し、紙・電子それぞれの特徴や注意点を押さえておくことで、適切な運用ができるようになります。将来的には電子マニフェストの導入も検討し、業務の効率化と環境配慮を両立させていきましょう。

エコ・ブレインでは、東京23区をはじめ東京都含めた関東圏はもちろん、埼玉県、神奈川県、千葉県、今まで築いてきた全国各地の協力ネットワークもフル活用し、北海道から沖縄まで日本全国が対応エリアとしています。
廃棄物の分別も弊社が行いますので、分別の仕方が分からないという方もご安心ください!
エコ・ブレインの対応地域例
[東京エリア]
中央区、千代田区、文京区、港区、新宿区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区、板橋区、豊島区、北区、台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区
八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市、西多摩郡、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町
[埼玉エリア]
さいたま市(西区、北区、大宮区、見沼区、中央区、桜区、浦和区、南区、緑区、岩槻区)
川越市、熊谷市、川口市、行田市、秩父市、所沢市、飯能市、加須市、本庄市、東松山市、春日部市
狭山市、羽生市、鴻巣市、深谷市、上尾市、草加市、越谷市、蕨市、戸田市、入間市、朝霞市
志木市、和光市、新座市、桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市
坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、日高市、吉川市、ふじみ野市、白岡市
[神奈川エリア]
横浜市(鶴見区、神奈川区、西区、中区、南区、保土ケ谷区、磯子区、金沢区、港北区、戸塚区、港南区、旭区、緑区、瀬谷区、栄区、泉区、青葉区、都筑区)
川崎市(川崎区、幸区、中原区、高津区、多摩区、宮前区、麻生区)
相模原市(緑区、中央区、南区)
横須賀市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、逗子市、三浦市、秦野市、厚木市
大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、南足柄市、綾瀬市
[千葉エリア]
千葉市(中央区、花見川区、稲毛区、若葉区、美浜区、緑区)
銚子市、市川市、船橋市、館山市、木更津市、松戸市、野田市、茂原市、成田市、佐倉市
東金市、旭市、習志野市、柏市、勝浦市、市原市、流山市、八千代市、我孫子市、鴨川市
鎌ケ谷市、君津市、富津市、浦安市、四街道市、袖ケ浦市、八街市、印西市、白井市、富里市
南房総市、匝瑳市、香取市、山武市、いすみ市、大網白里市
その他上記以外の地域も駆けつけます!
ごみの処分など廃棄物関連にお困りの方、疑問がある方など、ぜひエコ・ブレインまでお問い合わせください!

[著者]

経歴:2019年にエコブレインに入社。以降5年間、広報部での経験を活かし、環境保護の重要性を広めるための活動に尽力している。特にデジタルマーケティングとコンテンツ制作に強みを持ち、多くの記事を執筆している。
趣味: 読書、ヨガ、カフェ巡り
特技: クリエイティブライティング、データ分析とマーケティング戦略立案