産業廃棄物ってなに?: 動物のふん尿は産業廃棄物?業種別の区分と処理方法

牛、豚、鶏などを飼育する事業では、毎日多くのふん尿が発生します。動物のふん尿はすべて同じ廃棄物区分になるわけではなく、排出した事業の業種によって「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分かれます。
結論として、畜産農業に伴って発生し、廃棄物に該当する動物のふん尿は産業廃棄物です。一方、ペットショップ、動物病院、動物園など、畜産農業に該当しない事業から出るふん尿は、原則として事業系一般廃棄物となります。
本記事では、動物のふん尿が産業廃棄物になる条件、業種別の区分、処理・再生利用方法、外部へ委託する際の注意点を解説します。
※本記事では法令や行政資料の表記に合わせて「ふん尿」と記載します。「糞尿」も同じ意味です。
動物のふん尿とは
廃棄物処理法施行令では、産業廃棄物となる動物のふん尿を「畜産農業に係るものに限る」と定めています。
そのため、動物を扱う事業から出たふん尿が、すべて産業廃棄物になるわけではありません。動物の種類だけでなく、「どのような事業者が、どのような目的で飼育しているか」を確認することが重要です。
産業廃棄物の「動物のふん尿」に該当する代表的な業種には、次のようなものがあります。
- 酪農業
- 肉用牛生産業
- 養豚業
- 養鶏業
- 養羊・養山羊業
- 養蚕農業
- 実験用・愛がん用動物の飼育業
犬や猫などを繁殖・飼育するブリーダーも、主な事業が愛がん用動物の飼育であれば「畜産類似業」に該当し、ふん尿が産業廃棄物となる場合があります。
業種別の廃棄物区分
動物のふん尿そのものに関する一般的な区分例は、次のとおりです。
| 排出した事業・場所 | 一般的な区分 |
|---|---|
| 畜産農家 | 産業廃棄物 |
| 犬や猫のブリーダー | 畜産農業に該当すれば産業廃棄物 |
| 実験用動物の飼育・供給業 | 畜産農業に該当すれば産業廃棄物 |
| ペットショップ | 原則として事業系一般廃棄物 |
| 動物病院・動物園 | 原則として事業系一般廃棄物 |
| 大学・製薬会社などの研究施設 | 原則として事業系一般廃棄物 |
| 競馬場 | 原則として事業系一般廃棄物 |
| 一般家庭 | 家庭系一般廃棄物 |
ペットショップは動物を扱っていますが、主な事業は小売業です。そのため、販売や展示に伴って発生するふん尿は、原則として事業系一般廃棄物となります。
ただし、医療機関や研究施設から出るふん尿が病原体に汚染され、感染性があると判断される場合は、感染性一般廃棄物などの特別管理廃棄物として処理する場合があります。
ペットシーツや洗浄汚泥の扱い
動物を飼育する施設からは、ふん尿だけでなく、ペットシーツ、敷料、洗浄排水、汚泥なども発生します。
ペットシーツには、プラスチック、不織布、紙、吸水材など複数の素材が使われています。プラスチック部分は産業廃棄物の「廃プラスチック類」に該当する可能性がありますが、事業系一般廃棄物となるふん尿が付着している場合は、一般廃棄物と産業廃棄物が混在した状態になることがあります。
また、畜舎や飼育施設の洗浄排水を排水処理設備で処理し、泥状物が発生した場合は、産業廃棄物の「汚泥」に該当します。
素材や混合状態によって処理方法が変わるため、自治体や処理業者へ確認してください。
動物のふん尿の排出量と再生利用率
環境省の令和5年度実績によると、動物のふん尿の排出量は約8,036万トンです。産業廃棄物総排出量の21.9%を占め、汚泥に次いで2番目に排出量が多い品目です。
一方、再生利用率は94.9%です。多くが堆肥やエネルギーなどに再生利用されています。
動物のふん尿の主な処理方法
堆肥化
ふんにおがくずやもみ殻などを混ぜ、水分を調整しながら発酵させる方法です。適切に堆肥化されたものは、肥料や土壌改良材として利用できます。
家畜ふんを原料とする堆肥は、一般に「特殊肥料」に該当します。堆肥を業として生産・販売する場合は、肥料関係法令に基づく届出や品質表示が必要です。
メタン発酵
ふん尿を酸素のない環境で発酵させ、発生するバイオガスを電気や熱として利用する方法です。処理後に発生する消化液や固形残さについても、利用先や処理方法を確保します。
浄化処理
尿やスラリーなどの液状物を、固液分離や微生物処理によって浄化する方法です。処理水を放流する場合は、関係法令や自治体の水質基準を満たす必要があります。
乾燥・焼却
ふん尿を乾燥させる方法や、基準を満たした施設で焼却する方法です。廃棄物の野焼きは一部の例外を除いて禁止されています。施設の処理能力によっては、産業廃棄物処理施設の設置許可が必要です。
処理業者への委託
自社で適切に処理できない場合は、「動物のふん尿」を取り扱える産業廃棄物処理業者へ委託します。
家畜排せつ物法による管理基準
一定規模以上の畜産事業者には、家畜排せつ物法に基づく管理基準が適用されます。
| 家畜の種類 | 対象となる飼養規模 |
|---|---|
| 牛・馬 | 10頭以上 |
| 豚 | 100頭以上 |
| 鶏 | 2,000羽以上 |
固形状の家畜排せつ物は、コンクリートなどの不浸透性材料で造られた床と、適切な覆い・側壁がある施設で管理します。液状物は、不浸透性材料で造られた貯留槽で管理します。
小規模事業者は管理基準の適用対象外ですが、廃棄物処理法上の区分が一般廃棄物に変わるわけではありません。
外部へ処理を委託する際の注意点
動物のふん尿を外部へ委託する場合は、次の点を確認します。
- 「動物のふん尿」を扱える収集運搬・処分業の許可
- 書面による委託契約
- 紙または電子マニフェストの交付
- 処理方法、数量、料金、保管方法
- 処分終了と最終処分の確認
少量であっても産業廃棄物の区分は変わりません。自ら処理する場合などを除き、外部へ委託する場合はマニフェストを適切に運用します。
排出事業者が自ら処理する場合も、産業廃棄物処理基準を守らなければなりません。施設の種類や処理能力によっては、設置許可が必要です。
動物のふん尿処理はエコ・ブレインへご相談ください
動物のふん尿は、排出した業種、飼育目的、混在物、保管状態によって、必要な許可や利用できる処理ルートが異なります。
エコ・ブレインでは、廃棄物の種類や数量、排出場所などを確認し、全国の協力ネットワークを活用しながら、状況に合った処理方法や委託先をご提案しています。
「畜産農業に該当するか分からない」「処理できる許可業者を探している」「ペットシーツや汚泥もまとめて相談したい」といった場合もご相談ください。
動物のふん尿に関するQ&A
少量であれば一般廃棄物として出せますか?
排出量だけで廃棄物区分は変わりません。畜産農業に伴って発生したふん尿が廃棄物に該当する場合は、少量でも産業廃棄物です。
堆肥化すれば廃棄物ではなくなりますか?
堆肥化しただけで自動的に廃棄物ではなくなるとは限りません。品質、利用目的、利用先、取引状況、保管状態などから総合的に判断されます。
自社で堆肥化する場合もマニフェストは必要ですか?
排出事業者が自ら運搬・処理する場合は、通常、マニフェストの交付対象にはなりません。ただし、産業廃棄物処理基準を守り、必要に応じて施設の設置許可を取得します。
まとめ
畜産農業に伴って発生し、廃棄物に該当する動物のふん尿は産業廃棄物です。一方、ペットショップ、動物病院、動物園などから出るふん尿は、原則として事業系一般廃棄物となります。
自ら処理する場合も処理基準を守り、外部へ委託する場合は、許可業者の選定、委託契約、マニフェストを適切に運用することが重要です。
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[著者]

経歴:2019年にエコブレインに入社。以降5年間、広報部での経験を活かし、環境保護の重要性を広めるための活動に尽力している。特にデジタルマーケティングとコンテンツ制作に強みを持ち、多くの記事を執筆している。
趣味: 読書、ヨガ、カフェ巡り
特技: クリエイティブライティング、データ分析とマーケティング戦略立案












