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広がる太陽光発電、将来的にパネルの後始末が問題?

2022/11/02
日本では2020年10月に2050年カーボンニュートラル宣言がなされ、脱炭素社会の実現に向けて様々な取り組みが進められています。そして脱炭素社会を目指すにあたって、欠かせないものが再生可能エネルギー。「エネルギー基本計画」では、2030年度の国内の電源構成の再生可能エネルギー導入目標を「36%から38%」としており、そのうち太陽光は14~16%とされています。

自然に優しいエネルギーといわれ、2030年度温室効果ガス削減目標を達成するための担い手として期待される太陽光発電。しかし、寿命を迎えた太陽光パネルの処理などについて課題が残ります。今回は、太陽光発電・太陽光パネルについて見ていきます。

(写真素材:photo AC)


太陽光発電・太陽光パネルとは?

太陽光発電(PV)は、「太陽電池」を用いて、太陽の光エネルギーを直接電気に変換して発電方式です。太陽電池は半導体の一種であり、光を当てると電気を起こす特性を利用しています。太陽電子素子そのものを太陽電池セルと言います。複数のセルを組み合わせて板状にしたものを太陽電池モジュールといい、一般的に太陽光パネルと呼びます。

太陽光発電は、クリーンエネルギーである無尽蔵の太陽光をエネルギー源とするため、化石燃料のように資源の枯渇や二酸化炭素の排出の問題をクリアできる強みがあります。さらに、比較的設置コストが安く、小規模に設置が可能で、加えて設置から稼働のスピードが早いといったメリットも。世界でも太陽光発電の導入量は急増しており、国内でも最も急速に普及した再生可能エネルギーです。

日本では1990年代後半に設備の導入が始まり、2012年には住宅用の太陽光発電システムの導入数は100万件を突破。同年7月に導入された「固定価格買取制度(FIT制度)」をきっかけに、太陽光発電の導入数は急激に増加しました。FIT制度とは、事業者や一般家庭が太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定期間、一定価格で買い取ることを国が約束する制度のこと。日本の太陽光発電の累計の導入量は、この10年で20倍以上に増え、IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)の2021年の年間太陽光発電設備導入量データによれば、日本は世界4位となっています。


太陽光パネルの後始末が問題に?

再生可能エネルギーへの移行に際して、今後寿命を迎えた太陽光パネルの後始末が問題になると、世界中で懸念が広がっています。屋外で風にさらされる太陽光パネルには寿命があり、耐用年数は20〜30年ほど広がった太陽光パネルが、寿命を迎えて大量に排出される時代が迫っているのです。

環境省によると、使用済み太陽光パネルの年間排出量は4400トンで、2030年代後半には毎年約50万〜80万トンもの使用済み太陽光パネルが排出されると試算しています。

太陽光パネルは頑丈に作られており、リサイクルするための分解には手間や費用がかかってしまいます。そのため、これまでパネルの多くが粉砕して埋め立て処分されてきました。しかし、最終処分場がひっ迫につながり、またパネルに含有する有害物質による土壌汚染の恐れがあると見られています。さらに、埋め立て処分にも費用がかかることから、発電事業終了後もパネルを放置、廃棄するパネルの不法投棄が懸念されています。

国は2020年、発電事業者に対し、太陽光パネルの不法投棄を防ぐため、撤去や廃棄の費用をあらかじめ積み立てるよう義務づける「再エネ特措法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)」の改正をし、2022年7月1日から同制度が始まりました。


太陽光パネルの処分方法は?

太陽光パネルは、有害物質である鉛、カドミウム、セレンなどを含まれていることがあり、さらに撤去や廃棄には専門的な知識や技術が必要となります。そのため一般家庭から排出される場合でも、基本的には専門業者によって撤去作業が行われるため、産業廃棄物に該当し適切に処分しなければなりません。

ただ、事故や災害で太陽光パネルが地上に落下してしまった場合については、太陽光パネルの所有者が排出責任者となります。また、独立型で解体工事等の事業活動を伴わず一般家庭から排出される場合や落下した太陽光パネルは、一般廃棄物として扱われます。一般廃棄物は自治体が処理責任を負っているため、太陽光パネルの廃棄方法については市区町村の担当窓口に相談しましょう。



使用済み太陽光パネルの適正処理については、環境省の「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)」に記載があります。利用終了した太陽光パネルは、廃棄物処理の前にリユースの可否を検討し、その上で、排出事業者は廃棄物処理法に適切に処理を行う必要があります。リユースの可否は中古の太陽光パネルを取り扱う業者に依頼することが一般的です。

太陽光パネルは産業廃棄物の品目である「金属くず」「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」「廃プラスチック類」の混合物として取り扱われるため、それらの許可品目を持つ収集運搬業者や埋立処分業者に委託しなければなりません。また、太陽光パネルは電気機械器具に該当するため、使用済み太陽光パネル由来の「金属くず」、「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」「廃プラスチック類」を埋め立て処分する場合は、管理型最終処分場への埋立が必要となります。解体・撤去業者及び廃棄物処理業者は、資源の有効利用の観点から、埋立処分よりまず、リサイクルを検討する必要があります。



太陽光パネルのリサイクルの動き

上述したように、太陽光パネルの処理については、これまで埋め立て処分が主でしたが、最終処分場の逼迫や土壌汚染などが懸念されています。政府は太陽光パネルのリサイクルに関して、ここ数年でガイドラインなどの整備などを進めています。また、国や都道府県による太陽光パネルのリサイクル促進に向けた補助金事業も始まっています。

2022年5月には、環境省が使用済み太陽光パネルのリサイクルを義務化する検討に入りました。建設リサイクル法を改正して対象品目に追加し、解体業者などに再資源化を求める案を軸に制度設計を進めるとのことです。

こうした中、民間企業の間でも、使用済み太陽光パネルのリサイクルに関する動きが進められています。 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2014年度~2018年度に行われた「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」で、低コスト分解処理技術の可能性を示したことで、事業化が促され、多くの産業廃棄物処理業者の参入が進みました。

太陽光パネルの製造装置を手がける株式会社NPCは、製造装置で使っている技術を応用して解体装置を開発。独自の技術「ホットナイフ分離法」などを活用し、太陽光パネルを分解してリサイクルするための全自動解体ラインを開発・製造し、太陽光パネルのリユース・リサイクル事業を行なっています。また、松山工場の屋根にリユースパネルを設置してLED電球を灯し、レタスを栽培する植物工場を始めるといった、ユニークな事業も展開しています。

石油元売り大手の出光興産はNEDOと共同し、コストや環境負荷を抑えた使用済み太陽光パネルのリサイクル技術の開発を、新年度から本格化させるとしています。

その他、自治体でも使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクルに向けた取り組みが見られています。東京都では「太陽光パネルの高度循環に向けた実証事業」が、埼玉県では「住宅用太陽光パネル回収事業」が、過去実施されています。引き続き、太陽光パネルのリサイクルやリユースの取り組みが全国各地で進んでいくことが期待されます。



いかがでしたでしょうか?

今回は太陽光発電と太陽光パネルについて見てきました。

脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーへのシフトしていくにあたり、今後も太陽光パネルの導入は進められていくでしょう。東京都では住宅への太陽光パネル設置義務化も検討されています。しかし、その一方で将来的に使用済みの太陽光パネルが大量廃棄され、その処理が問題となると懸念が広がっています。太陽光発電が真のクリーンエネルギーとなるためには、使用済み太陽光パネルのリサイクルやリユースに関する、法整備や回収システムの構築は必須となります。今後は、国や自治体の行政だけではなく、民間企業での取り組みも積極的に進むことが期待されます。太陽光発電を導入している、導入を検討している方も、太陽光パネルを適切に処理し環境負荷を低減するようにしましょう。


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