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カーボンクレジットとは? 仕組みや制度を紹介

2022/09/26
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(2021)によると、2011~2020年で世界平均気温は1.09℃上昇しています。特に最近30年の各10年間は、1850年以降のどの10年間よりも高温を記録しています。

地球温暖化の原因となるのは温室効果ガス(GHG)で、中でも影響語が大きいのが二酸化炭素です。温室効果ガス濃度がさらに上昇し続ければ、今後の気温もさらに上昇すると予測されています。地球温暖化は日本だけではなく、世界各国で取り組むべき喫緊の課題です。

地球温暖化や温室効果ガスの問題に対策すべく、現在は様々な取り組みが進められています。その中で「カーボンニュートラル」や「カーボン・オフセット」と言った言葉が聞かれるようになりました。

カーボン・オフセットとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出について、削減努力をした上で、他の場所での削減・吸収活動を利用して埋め合わせること。カーボン・オフセットを完了するには、「クレジット」の無効化が必要不可欠です。では、このクレジットとは一体何なのでしょうか?

今回はカーボン・オフセットの「カーボンクレジット」について詳しくみていきます。


カーボン・オフセットとは?

まず、カーボン・オフセットについてもう少し詳しくみていきましょう。
カーボン・オフセットとは、私たちの活動により排出されてしまう、二酸化炭素などの温室効果ガスを、できるだけ排出量が減るよう努力を行い、それでも排出してしまう排出量については、他の場所での削減・吸収活動(削減・吸収量)により「埋め合わせる」という考え方です。


他の場所での削減・吸収活動とは?
植林・森林保護活動などによって二酸化炭素の吸収を促す活動や、バイオマス・風力・水力・太陽光発電など再生可能エネルギーの利用や高効率省エネ機器の導入などにより温室効果ガスを削減する活動のこと。



カーボン・オフセットをする際には「クレジット」を購入し、無効化をすることで埋め合わせがなされます。クレジットを活用することで誰でもカーボン・オフセットに参加することができ、さらに企業自らの温室効果ガス排出削減だけではなく、消費者の温暖化対策や地域活性化貢献の機会提供等もできる社会貢献活動となります。

※カーボン・オフセットについてはこちらの記事で解説しています→【カーボン・オフセットとは?概要や取り組みを解説】


カーボンクレジットとは?

カーボンクレジットとは、他の場所での削減・吸収活動によって実現できた温室効果ガスの削減効果(削減量、吸収量)を一定のルールに基づき定量化して発行する「クレジット」(排出権)のこと。または、他の企業など市場で取引きるようにする仕組みのことを指します。

「2050年カーボンニュートラル」やSDGsの潮流を受け、カーボンクレジットの需要はますます増加すると予想されています。実際、欧米企業を中心に需要は増加傾向にあり、活発に利用され、日本でも企業間で活用の動きが広まっています。現在、国内での流通だけではなく、国際取引を含めたカーボンクレジット市場の整備が進められています。


カーボンクレジットの仕組みは?

カーボン・オフセットを完了するには、クレジットを購入、無効化する必要があります。無効化とは一度カーボン・オフセットに使われたクレジットが再び使用されないようにする手続きであり、具体的には「無効化/取消口座」にクレジットを移転することで行います。

クレジットは、電子システム上の「口座」において、1t-CO2を1単位として管理され、売買によりクレジットが口座間を動くことを「移転」といいます。

クレジットの購入方法は、以下の2つがあります。

・自社のクレジット口座を保有している場合
クレジット創出事業者やプロバイダーといった、クレジットの保有者よりクレジットを購入し、購入先より自社口座へクレジットを移転。その後、自社の口座から無効化/取消口座へクレジット移転手続きをすることで、カーボン・オフセットが完了となります。

・自社でクレジット口座を保有していない場合
クレジットの保有者からクレジットを購入し、購入先より無効化/取消口座へ直接クレジットの移転手続きを行います。この場合、クレジットの所有権が購入者に移る内容で売買契約しなければなりません。

なお、国内で流通しているクレジットでは、無効化申請を行う際、誰が何の目的で無効化を行うか記載もできます。記載内容は無効化証明書にも転記されるため、無効化手続きを代行してもらう場合に置いて、対外的な説明をするのに有用とされます。


カーボンクレジットの取引制度とは?

カーボンクレジットは、温室効果ガスの排出削減量を売買するにあたり、主に下記の2つの取引制度が設けられています。

■ベースライン&クレジット制度(削減量取引)

ベースライン&クレジット制度は、温室効果ガスの「削減量」を取引する制度。ボイラーの更新や太陽光発電設備の導入といった「排出削減型」のプロジェクト、森林管理や植林といった「吸収・吸着型」プロジェクトを対象に、そのプロジェクトが実施されなかった場合の排出見込量と実際の排出量等(プロジェクト排出量等)の差分がクレジットとなります。

カーボン・クレジットの創出者(取り組みを行った事業者)は利益を得ることができるため、排出削減への動機付けも期待されています。


■キャップ&トレード制度(排出権取引)

キャップ&トレード制度は、温室効果ガスの「排出権(枠)」を取引する制度で、欧州や米国カリフォルニア州、中国、東京都・埼玉県等で公的機関により導入されています。

この取り組みは、特定の組織や施設ごとで一定量の排出可能な量を設定し、設定した量から実排出量が超過した場合、クレジットとして余裕のある事業所から超過分を購入できる仕組みです。ベースライン&クレジット制度に比べ、温室効果ガスを多く排出する産業に対して、規制対策的な面もあります。



カーボン・クレジットの種類は?

国内外で流通しているクレジットは複数あり、その種類や内容、価格など多岐に渡ります。ここでは、主な国内外のカーボン・クレジットをご紹介します。



■国内のカーボン・クレジット制度

・J-クレジット制度
経済産業省・環境省・農林水産省が制度管理者となり運営されている制度。省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用による排出削減量、適切な森林管理による吸収量を「クレジット」として国が認証します。認証されたクレジットを、クレジット購入者が購入することで、自社の削減量として公表できます。

・Jブルークレジット
ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)が制度管理者の制度で、2020年より運営されています。ブルーカーボンに特化した国内ボランタリークレジット制度であり、ブル—カーボン生態系の保護・育成プロジェクトを対象としています。



■国外のカーボン・クレジット制度

・Clean Development Mechanism(CDM):クリーン開発メカニズム
京都議定書において規定され、国連が主導しています。先進国と途上国が共同で排出削減プロジェクトを途上国で実施し、その排出削減量を技術や資金を提供した先進国が、自国の削減量として計上できるカーボン・クレジット制度。

・二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism(JCM))
途上国(パートナー国)等への脱炭素技術、システム、インフラ等の普及や炭素削減活動を通じ、実現した温室効果ガス排出削減等を適切に評価するとともに日本の削減目標達成に活用する制度。

・Verified Carbon Standard(VCS)
WBCSD(World Business Council For Sustainable Development) や IETA(International Emissions Trading Association)などの民間企業が参加している団体により設立された認証基準・制度。森林や土地利用に関連するプロジェクトや、湿地保全による排出削減プロジェクトなどが実施されています。


また、近年では、クレジットの種類について、「排出回避/削減由来のもの」か「炭素吸収/炭素除去由来のものか」等、カーボン・クレジットを創出するプロジェクトのタイプによっても分類されます。


■排出回避/削減

【自然ベース】
・REDD+
※Reducing emissions from deforestation and forest degradation and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries(途上国における森林減少・森林劣化に由来する排出の抑制、並びに森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強)の略称
・その他の自然保護等

【技術ベース】
・再生可能エネルギー
・設備効率の改善
・燃料転換
・輸送効率改善
・廃棄物管理 等



■炭素吸収/炭素除去

【自然ベース】
・植林・再植林
・耕作地管理
・泥炭地修復
・沿岸域修復
・森林管理
・草地保全 等

【技術ベース】
・Direct Air Carbon Capture and Storage(DACCS)※大気中のCO2を直接回収して貯留する技術
・Bioenergy crops with Carbon Capture and Storage(BECCS)※バイオマス燃料の使用時に発生したCO2を回収、地中に貯留する技術
・Enhanced weathering(風化促進)
・バイオ炭 等



いかがでしたでしょうか?

カーボン・クレジットは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減を進めていくうえで、重要な制度です。カーボニュートラルの潮流を受け、民間における自主的な取組みも進んでおり、クレジットを活用した自社の温室効果ガス削減目標達成や、新たなカーボニュートラル製品・サービスを展開する企業が登場しています。

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、今後さらにカーボンクレジットの動きや、企業による取り組みは注目されていくことでしょう。

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