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アルコールチェック義務化、白ナンバーまで拡大?

2022/07/29
2022年4月1日より改正道路交通法が施行され、運送業や運搬業など運ぶことを業務としている「緑ナンバー」で義務化されていたアルコールチェックが、自社製品の配送など「白ナンバー」の車両を持つ企業も対象となりました。

今回はアルコールチェック義務化について解説します。


(写真素材:photo AC)


アルコール検知器の業務化とは?

2011年5月から、国土交通省令である旅客自動車運送事業運輸規則や貨物自動車運送事業輸送安全規則が改正されたことにより、運送事業を行うものに対してアルコールチェックが義務付けられました。

飲酒運転による被害を減らすことを目的としており、運転前後のドライバーへの点呼で、「運転者の酒気帯び」の有無を確認する際にアルコール検知器を使った検査をするよう義務付けています。当初はバスやトラック、タクシーなどの事業者が対象で、2019年には、航空業界・鉄道業界においてもアルコール検知器が義務付けらました。

これまでは、いわゆる「緑ナンバー」を対象としていたアルコールチェックが、2022年4月および10月を境に、自社製品などを搬送のため自動車を使用する事業者(白ナンバー)まで対象が拡大となります。

アルコールチェックの対象が拡大された背景には、2021年6月に千葉県八街市で発生した飲酒運転のトラックによる死亡事故があります。当該トラックは白ナンバーだったため、運転前のアルコールチェックは行われていませんでした。児童5人が犠牲となった痛ましい事故を受け、このような交通事故をなくすため、対象外であった白ナンバーのアルコールチェック検査も義務化されることになりました。


アルコールチェック義務化の拡大

2022年4月と10月、段階的に点呼とアルコール検知を義務化が拡大されます。

2022年7月14日、10月から予定されていた、白ナンバーの車を使う事業者へのアルコール検知器による検査の義務化について、警察庁は半導体不足などの影響によりアルコール検知器の十分な確保が困難だとして、当面の間延期する方針との報道がありました。

■対象企業
・乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持している企業
・乗車定員に限らず5台以上の自動車を使用している企業 ※原付をのぞく自動二輪車は0.5台換算

これまでは、運送業などで使用される緑ナンバーの事業用自動車が対象でしたが、2022年4月以降は上記の条件に当てはまる白ナンバーの車を保有する企業にも適用されます。客や荷物を運ぶ用途でなくても、営業用などの社用車を所有している企業も対象となります。

■2022年4月1日から義務化される項目
・運転前後の運転者の状態を目視等で確認し、運転者の酒気帯びの有無を確認すること
・酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること

目視でのチェックは、運転者の顔色や、吐いた息のにおい、声の調子などを確認して、飲酒の有無を確認します。運転前に飲酒していないか確認するほか、運転中に飲酒していないかチェックします。


■2022年10月1日から義務化される項目→延期
・運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うこと
・アルコール検知器を常時有効に保持すること

10月からはアルコール検知器を使用したチェック義務が加わります。そのため、事業所にアルコール検知器を備品として保有することが必要です。なお、出張先で車を運転する場合は、運転者に携帯型アルコール検知器を所有させなければなりません。

★遠方でのチェックは?
目視でのチェックやアルコール検知器を使ったチェックは、運転を含む業務の開始前や出勤時、終了時や退勤時に対面で行うことが原則ですが、直行直帰や出張などで対面での確認が困難な場合は、対面に準ずる方法で確認が取れれば問題ありません。



義務化に向けて企業がすべきことは?

■安全運転管理者の選任
事業者は車を使用する事業所ごとに「安全運転管理者」を選任しなければなりません。安全運転管理者を選任したときは、その日から15日以内に事業所のある地域の警察署に必要書類を提出します。

【安全運転管理者の業務】
  • 交通安全教育
  • 運転者の適正等の把握
  • 運行計画の作成
  • 交替運転者の配置
  • 異常気象時等の措置
  • 点呼と日常点検
  • 運転日誌の備え付け
  • 安全運転指導

【安全運転管理者の選任の資格要件】
  • 20歳以上であること ※ただし、副安全運転管理者を選任する場合は30歳以上
  • 自動車の運転の管理に関し2年以上の実務経験を有する者
  • 上記の者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者
無免許運転や飲酒運転といった違反行為から2年を経過していない場合は欠格要件に該当


■アルコール検知器の準備
10月からのアルコールチェックは、アルコール検知器を使用しなくてはなりません。

警察庁は「国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用いて行うこと。アルコール検知器を常時有効に保持すること」「安全運転管理者が酒気帯びの有無の確認に用いるアルコール検知器については、酒気帯びの有無を音、色、数値等により確認できるものであれば足り、特段の性能上の要件は問わない」としています。

国家公安委員会が定めるアルコール検知器とは、呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有するものになります。
※アルコールを検知し、原動機が始動できないようにする機能を有するものも含む

「アルコール検知器を常時有効に保持する」とは、正常に作動し、故障がない状態で保持しておくことを指します。このため、アルコール検知器の製作者が定めた取扱説明書に基づき、適切に使用・管理し、保守や定期的な故障の有無を確認し、故障がないものを使用し続けることが求められます。


現在、さまざまなメーカーからアルコール検知器が販売されており、検査結果を自動で記録するものやシステムと連携できるものなどがあります。呼気中のアルコールを正しく測定でき、アルコールの有無や濃度を正しく表示できる機器を選びましょう。


■点呼記録
アルコールチェックを記録して確実に保存するため、テンプレートを用意するといいでしょう。 アルコールチェックの記録に関して媒体や書類形式に指定はありません。次の項目をチェック項目として、運転の前と後にそれぞれアルコール検査の結果を記載し保存しましょう。

  • 検査日時
  • 検査実施者の氏名
  • 検査場所
  • 検査を確認した第三者の氏名
  • 検査結果

もしくは、全日本トラック協会がサンプルを公開していますので、それを参考に自社に合わせた物を作成・運用するのもおすすめです。

なお、紙で記録した場合、保管にかなりのスペースや労力を割くことになるため、デジタルデータでの記録がおすすめされます。最近は、アルコール検知器と連動した管理システムも販売されているので導入を検討してみても良いでしょう。



アルコールチェックの義務を怠ると?

アルコールチェックを怠っていた場合、安全運転管理者の業務違反となり、安全運転管理者の解任命令の対象になります。ただ、アルコールチェックの確認やその記録を怠ったことに対する直接罰の規定は設けられていません。

ただし、規定の車両台数を保有しているにもかかわらず、安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しない場合は5万円以下の罰金が科せられます。

また、従業員が飲酒運転を行った場合は、道路交通法の酒気帯び運転等の禁止違反として、運転者だけではなく代表者や管理責任者などにも5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

万が一、従業員が飲酒運転による事故を起こした場合は、刑事責任、民事責任のみならず、企業の社会的信用大きく低下してしまうので、徹底したアルコールチェックを実施する必要があります。



いかがでしたでしょうか?

今回はアルコールチェックの義務化について解説してきました。

飲酒運転による交通事故は死亡事故につながる恐れが高く、毎年多くの人の命が奪われています。飲酒運転事故は減少傾向にあるものの、悲しいことにゼロまで至っておらず、時よりメディアなっで報道がなされています。飲酒運転は被害者や遺族の方はもちろん、加害者そして周りの人の人生をも大きく狂わせることになります。

今回のアルコールチェック義務化は事業者にとって、業務や費用の負担は重くなりますが、企業は従業員に対し、飲酒運転という万が一のリスクを減らすためしっかりとした対策を講じましょう。


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