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オーストラリアのごみ処理やリサイクルの現状は?

2022/06/10
オーストラリアは、日本から直行便で最短7時間ほどで行くことができる人気の観光地です。ダイナミックな自然や、オペラハウスをはじめとした世界遺産を満喫でき、コアラなど珍しいオーストラリア固有種の動物にも出会うことができます。

大自然が魅力的なオーストラリアですが、近年さまざまな環境問題に直面しています。2019年から2020年にかけて起きた大規模な森林火災は、日本でも大々的に報道され他ので、記憶に残っている方も多いでしょう。

そんなオーストラリアでは、動植物の保護を始め、水やエネルギーの保全と節約、レジ袋の削減やエネルギー効率の悪い白熱電球の廃止など、日常生活レベルから様々な環境保護活動が実施されています。

では、オーストラリアでのごみ処理や脱プラに対する取り組みはどのようになっているのでしょうか? 
今回はオーストラリアでのごみの処理の現状、リサイクル・脱プラに対する取り組みについてみていきます。
オーストラリアのごみ処理の現状

オーストラリアにおける2018-2019年度のごみ排出量は7,406万トンであり、リサイクル率はおよそ60%でした。主な排出物は石材(2,289万トン)、有機物(1,259万トン)、灰(1,253万トン)、危険物(782万トン)、紙・板紙(592万トン)、金属(560万トン)、プラスチック(254万トン)、ガラス(116万トン)、布・皮革(78万トン)となっています。

廃棄物の発生源別では、商業・工業廃棄物(C&I)が3,440万トン(46.5%)、建設・解体廃棄物(C&D)が2,703万トン(36.5%)、都市ごみ(MSW)が1,257万トン(17.0%)となりました。ごみの処理方法は、リサイクル(58.7%)、埋め立て(27.8%)、長期保管(9.0%)、エネルギー回収(2.9%)と、リサイクルが大半を占めています。

オーストラリアでは、廃棄物に関する国家政策と行動計画が定められています。2018年の国家廃棄物政策は2030年までの廃棄物削減のアジェンダを設定し、2019年の国家廃棄物政策行動計画(NWPAP)は、以下の7つ目標の実施を推進しています。
①廃棄物輸出の規制
2021年1月よりガラス、廃プラスチック、タイヤ、紙・板紙の輸出を順次禁止としています。
②2030年までに一人当たり10%の廃棄物総発生量を削減
使い捨てプラスチックなどの使用を避ける、食品廃棄物の削減など、6つの目標を達成することで、一人が毎年排出する廃棄物を約285kg減らすことができるとされています。
③2030年までに全廃棄物から平均80%の資源回収率を達成
資源回収は、廃棄物を利用することです、リサイクルや廃棄物からエネルギーやその他の資源を回収することが含まれます。
④政府および産業界によるリサイクル素材の使用を大幅に増加
リサイクル素材を使用した製品をより多く購入し、使用することを奨励しています。
⑤2025年までに不要なプラスチック等を段階的に廃止
後述にて詳しく解説しています。
⑥2030年までに有機廃棄物の埋立処分量を半減
有機廃棄物の回収率を高めるため、食品廃棄物に対する取り組み(「国家食品廃棄物戦略」)などが行われています。
⑦消費者などの意思決定を支援するデータの提供
情報を提供するため廃棄物データの収集と報告方法を改善しています。





オーストラリアのリサイクルの現状

上でも見たように、オーストラリアで発生したごみの多くはリサイクルされています。ただ種類別に見てみるとその差がわかります。

金属、石材、紙・板紙、有機物については、排出量の半分以上がリサイクルされている一方で、プラスチックごみについては、リサイクルされるのはわずか12.8%(32万トン)となっています。一部がエネルギー化されているものの、ほとんどが埋め立てられている状況です。

以前のオーストラリアでは、プラスチックごみをはじめ多くの廃棄物を海外に輸出していました。しかし、2017年以降のアジア諸国の資源ごみ輸入規制の強化もあり、資源ごみの輸出を禁止する方向に転じました。廃棄物の輸出が全面禁止される 2024年半ばまでに、毎年約645,000トンの廃プラ、紙、ガラス、タイヤのリサイクルする必要があります。

2020年7月には、新しいリサイクル近代化基金に1億9,00万豪ドル(約143億円)を拠出すると発表しました。この拠出によって1万人の雇用を生み、1,000万t以上のごみが埋立処理されずに再商品化される効果が期待されています。また、2020年12月には、2021年1月から2024年7月にかけて廃棄物の段階的輸出禁止を実施するため、リサイクル及び廃棄物削減法が成立しました。
そして、後述でも触れますが、「国家プラスチック戦略(National Plastics Plan)」でも包装に関する目標が設定されています。2025年までに4つの国家包装目標を達成することとされていますが、そのうち2つはリサイクルに関するものです。
・プラスチック包装材の70%がリサイクルまたは堆肥化される
・包装材の平均リサイクル率50%(プラスチック包装材は20%)

また、オーストラリアではリサイクルをより簡単に行うため「Australasian Recycling Label (ARL)」というラベルを採用しています。このラベルは、製品のパッケージのどの部分がリサイクル可能か、ごみ箱あるいはスーパーマーケットの回収箱に入れるかなど、リサイクルできるものが分かるようになっています。

これにより消費者は複雑な分別が分かりやすくなり、廃棄物が正しく処分されることで、円滑なリサイクルを可能にすることができます。リサイクル可能な材料の回収率を高め、廃棄物による環境汚染を減らすことが期待できます。




オーストラリアでの”脱プラ”に向けた動き

日本でも様々な施策がとられ、世界的にも広がっているプラスチックごみ削減の動きは、オーストラリアにおいてもみられます。

2021年、オーストラリア連邦政府は、プラスチックによる環境汚染への対応をさらに一歩進める「国家プラスチック戦略(National Plastics Plan)」を発表しました。この戦略は、プラスチックの利用防止、リサイクル、消費者教育、河川・海洋保護、研究開発の5つの柱で構成されています。

特に注目したい”利用防止”の項目では「プラスチック廃棄物を減らすための最も簡単な方法は、不要な使い捨てプラスチックを使用しないこと」と述べられており、産業界に対して各種プラスチックの段階的な使用廃止を求めています。

具体的には、ポリスチレン(発泡スチロール)の梱包素材への使用を2022年7月まで、同素材の食品や飲料容器への使用と、ポリ塩化ビニル製の商品ラベルを2022年12月までに廃止することが掲げらています。さらに、生分解性プラスチックについても、2022年7月を目処に、段階的に廃止を進める予定とのこと。

★生分解性プラスチックとは?
「バイオプラスチック」とも呼ばれ、植物由来の原料から製造され、使用後には微生物の力で自然に還ると、一般的に考えられている素材のこと。


「生分解性プラスチック」は明確な基準値が存在しないため、規制なしで表示できてしまいます。つまり、市場に流通している生分解性プラスチック全てが、前述のような素材ではありません。そのため、埋め立て材となってから分解に数十年、数百年の時間を要するものもあるという現状を受けて、廃止が決定されました。



いかがでしたでしょうか?

今回はオーストラリアのごみやリサイクルについて見てきました。

2019年の大規模な森林火災など、オーストラリアでは干ばつや森林火災が深刻な問題となっています。環境問題の解決は、国を挙げて行うことはもちろん、世界中で解決しなければならない問題です。

オーストラリアでは、「国家プラスチック戦略(National Plastics Plan)」といったプラスチックごみ削減をはじめ、廃棄物を削減するために様々な取り組みが見られています。今後もオーストラリアにおける廃棄物および環境に対する施策は、注目していきたいところです。


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