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オクトーバーフェストで採用されている「デポジット制」とは?

2022/05/06
「オクトーバーフェスト」というイベントをご存知でしょうか? メディアでしばしば取り上げられるため、「名前だけは知っている……」という方も多いかもしれません。

「オクトーバーフェスト」とは、毎年ドイツのバイエルン州ミュンヘン市で開催されている世界最大規模の”ビール”のお祭りです。この国と言えば? という質問に「ビール」と答える人も多いと思われるドイツのイメージを象徴するイベントで、600万人もの来場者によって、700万リットルものをビールが消費されることもあったほど。

そんな「オクトーバーフェスト」は日本でも開催されており、2003年に初開催されてから今年で19年目を迎えます。新型コロナウイルス感染症の影響で中止していました、3年ぶりにお台場で4月28日から5月8日まで開催しています。また、日比谷でも5月20日から5月29日まで開催予定。コロナ禍でも安心安全に楽しめるよう、日時指定入場制を導入しており、会場は時間帯ごとの定員が設けられています。

この「オクトーバーフェスト」で注目したいのは、日本でもドイツ直送の樽生ビールが味わえることはもちろん、「デポジット制」が導入されていることです! ただ「デポジット制」にあまり耳馴染みがない、という方も少なくないでしょう。

今回は、人気のオクトーバーフェストでも採用されている「デポジット制」についてみていきます。

オクトーバーフェストでのビールの購入方法

まず、「デポジット制」の解説の前に、オクトーバーフェストでどのようにビールを購入するのかをご紹介します。

【パターン1】入場時にもらうリユースカップを利用する
1杯目:入場時に受け取ったリユースカップにビールを注いでもらいます。
2杯目以降:ブースでドリンクを注文する際にリユースカップを渡します。
この場合、ドリンク代のみで購入できます。使用したリユースカップは記念に持ち帰ってもOK。



【パターン2】デポジット制のグラスで購入する
1杯目:注文時に「デポジット」としてグラス代の預かり金(1,000円~)とビールの代を支払います。
2杯目以降:空いたグラスを持って好きなブースで注文が可能です。この時はビール代のみ支払えばOK。

帰る前に、“最後に購入したブース”にグラスを返却。その際にグラス代が返金されます。
※グラスなどが破損・紛失・盗難についてはデポジットが返却されなくなってしまうので注意しましょう。



デポジット制度とは?

デポジットとは「保証金」のことを指し、容器やサービスを利用するときに必要なカードなどを貸借する際に支払う「預かり金(預託金)」のことを言います。製品価格に一定金額の「デポジット」を上乗せして販売し、製品や容器が使用後に返却時に返金される制度のことを「デポジット制度」と呼びます。飲料容器を例に挙げると、販売時に容器代金を上乗せしておき、容器を販売店や専用の機械などに返却するとそのお金が返却される仕組みとなっています。

環境分野では「デポジット」だけで、デポジット制度を指す用語としてしばしば用いられます。デポジット制度は使い捨て防止の観点から導入されることが多く、使用済み製品や容器の回収率が上がりリサイクルや適正処理が進む、ごみの散乱が防げるなどのメリットが挙げられます。

デポジット制度を導入している国の例
スイス(飲料容器)
デンマーク(飲料容器・自動車・タイヤ等)
スウェーデン(アルミ缶・ペットボトル・ガラス瓶・車体・電池)
ドイツ(ペットボトル・缶・びん・包装材等)
アメリカの一部の州(炭酸飲料等の容器)
ノルウェー(飲料容器・車体・廃油等)
フランス(包装材・フロン)
韓国(飲料容器・食品容器・紙製品等)

ドイツでのデポジット制度

では、デポジット制を採用している国ではどのような仕組みとなっているのか、「オクトーバーフェスト」の聖地、ドイツを例に詳しくみていきましょう。

ドイツでは、増え続けるプラスチックごみ問題の解決策として、リターナブル容器の普及促進を目的に、飲料容器に対しデポジットシステムが運用されています。ドイツでは97%のリサイクル率を達成しているとのこと。

ドイツで運用されているデポジット制度は2つあり、ひとつは飲料メーカーが自主的に制度化している、リターナブル容器のデポジットシステム。もうひとつは法律で規定された、ワンウェイ(使い捨て)容器のデポジットシステムです。

【リターナブル容器のデポジットシステム】
リターナブル容器とは、中身を消費した後の容器を、販売店を通じて回収し、飲料メーカーが洗浄して再び使用する容器のこと。洗浄し、再度充填される「リユース型」であり、製造コストと資源の削減を可能としています。こちらは、業界が自主的にデポジットシステムを導入しています。

例)ビールやジュースのガラスびん、リユース用ペットボトルなど


【ワンウェイ容器のデポジットシステム】
「ワンウェイ容器」とは一度きりの使い捨て容器のことを指します。細かく粉砕されたのちに、再加工=リサイクルされる形をとります。こちらは、国が法的に容器の製造・販売に関わる事業者に回収・分別の責任を負わせる、強制的なシステムとなっています。

例)ミネラルウォーターや炭酸飲料のペットボトル、ビール缶など


なお、これまではビール、ミネラルウオーター、清涼飲料水、アルコール入りの飲料の使い捨てボトルに25セントのデポジットが課されていましたが、「容器包装廃棄物法(Verpackungsgesetz)」の改正法案により、2022年から使い捨て飲料用容器のデポジット制度の対象が拡大されました。これまで対象外であった牛乳やジュース、ワイン、蒸留酒、栄養ドリンクなども含め、全てのペットボトルおよび缶が対象に。
※牛乳および乳飲料については、2024年までの移行期間が設けられます。

日本でデポジット制度はある?

日本では国としてデポジット制を採用してはいませんが、ビール瓶のデポジット制度が存在しています。

「ビールびん保証金制度」といい、「リターナブルびん商品の販売時に、びん保証金5円を上乗せして販売し、空いたリターナブルびんを販売店にご返却いただいた時に保証金をお返しする制度」です。(出典:ビール酒造組合)ただこちらの制度は、販売店の自主的な活動であり、必ずしもすべての地域、販売店で瓶の代金が返金されるわけではないことに注意しましょう。

なお、横浜市資源リサイクル事業協同組合の運営するサイト【横浜市「あなたの街のエコ酒屋」】のように、回収店舗マップをつくっている自治体もあります。

自治体ごとでリターナブル瓶の回収を行なっていたり、また、離島や観光地など一定のまとまりを持った区域内においてローカル・デポジットが実施されている例などもあります。
いかがでしたでしょうか?

今回は人気イベントの「オクトーバーフェスト」で導入されている「デポジット制」についてみてきました。

デポジット制は日本ではあまり耳馴染みがない言葉ではありますが、プラスチックごみなど環境問題の解決策として、採用している国もあります。ドイツではその効果が高く出ていることがわかっており、イギリスでも最近導入されるようになりました。

日本でも企業で飲食店向けに取り入れていたり、オクトーバーフェストのようにイベント内で採用されていることもあります。今後、このデポジット制が導入される機会が増えるかもしれません。ビールが好きで、デポジット制に興味がある、触れてみたいという方は日本で開催されている「オクトーバーフェスト」に参加してみてはいかがでしょうか?


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(参考サイト)ガラスびん3R促進協議会 

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