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海洋ごみ・海洋プラスチックごみ問題とは?

2021/08/27
最近では、メディアなどでも取り上げられることが多い「SDGs」。世界の国々が2030年までに達成すべき17の目標として、2015年9月に国連サミットで採択された持続可能な開発目標のことです。その14番目の項目に掲げられているのが「海の豊かさを守ろう」。海の豊かさを守ることが、持続可能な地球環境保護や地域経済に大きな影響をもたらしてくれます。

海の豊かさを守るための取り組みとしては、海洋ごみをなくすことが真っ先に思い浮かぶ方が多いのでは無いでしょうか? その「海洋ごみ」にもさまざまな種類がありますが、年々深刻さを増しているのが「海洋プラスチックごみ」問題です。海洋ごみの半分以上を占めるプラスチックごみは、その素材の性質上滞留期間が長く、中には400年以上海の中を漂うものもあるそう。こうした海洋ごみは、多様なところに影響を与えています。

海洋ごみとは?

そもそも「海洋ごみ」とは、どんなものを指すのでしょうか?
海岸に打ち上げられた「漂着ごみ」、 海原を漂う「漂流ごみ」、海底に沈んだ「海底ごみ」…これらの総称のことを「海洋ごみ」と呼びます。

海洋ごみの種類はさまざま。釣り糸や漁網などの海で使う道具の他、ペットボトルやレジ袋といった日常的に使う物が多く含まれています。中でも、一度海に流れてしまうと半永久的に分解されることのないプラスチックごみが世界的に問題視されています。
※5mm以下になったプラスチックを 「マイクロプラスチック」といいます。


海洋ごみの種類別割合(個数)
プラスチック・・65.8%
自然物・・15.9%
木材・・7.3%
金属・・4.0%
ガラス・陶器・・2.8%
布・・0.8%
紙・・0.3%
その他人工物・・3.1%

海洋ごみはどこからくる?

海洋ごみの7〜8割が、私たちが暮らす街で発生したごみであると言われています。街で捨てられたごみが水路や川に流れ出し、やがて海へとたどり着くのです。

日本財団と日本コカ・コーラ株式会社が行なった調査(「陸域から河川への廃棄物流出メカニズムの共同調査」)によると、ごみの発生原因は「投棄・ぽい捨て系」「漏洩(ろうえい)系」の2つに大別されます。社会的な問題や産業構造などが要因でごみを投棄・ぽい捨てせざるを得ない状況も発生していること、ごみを集積している地点からの漏洩や、災害時の応急処置で使用され経年劣化した製品や農業資材の流出が確認され、個々人のモラル面以外での問題が明らかとなりました。

また、プラスチックごみに着目すると、国連によると、毎年800万トン以上のプラスチックごみが海洋に流れ込んでいて、その総量はすでに1億5000万トンを超えるとも。このままでは2050年の海は、魚よりもごみの量が多くなると言われるほど問題は深刻化している。

そのプラスチックごみを多く流出している国は主にアジア諸国で、なんと全体の約8割を占めているのです。さらに、環境省の調べでは、毎年海に流出するプラスチックごみのうち2〜6万トンが日本から発生したものだと推計されています。

海洋ごみによる影響とは?

海洋プラスチックごみはどういった影響を及ぼしているのでしょうか?

海洋生物への影響
まず考えられるのが海洋生物への影響ですが、その影響は非常に甚大です。海に住む生き物が誤って プラスチックごみを食べたことで死んでしまった事例が、世界中で報告されています。他にも廃棄されたプラスチック製の漁業網に絡まってクジラや海鳥が窒息死したりするなど、海洋生物への被害が後を絶ちません。

また、「マイクロプラスチック」という海流で漂流したプラスチックごみが雨や波、紫外線によって5ミリ以下の細かい粒子に砕かれたものがあり、こちらも問題となっています。海洋生物が“餌”と間違えて食べれば、その後の食物連鎖であらゆる生物の体内にプラスチックが取り込まれることとなり、生態系への影響が出てしまうと考えられます。

人体への影響
上記で触れた「マイクロプラスチック問題」は、魚を口にする人間も例外ではありません。具体的な影響こそまだ明らかにされていませんが、プラスチックに入っている添加物や有害な化学物質が内臓に悪影響を及ぼすとの見方もあります。

経済損失
2018年にOECD(経済協力開発機構)が発表した報告によると、海に流れ出たプラスチックごみがアジア・太平洋地域の観光業に与える損害は年間6億2200万ドルにのぼるとされています。

海洋ごみがこのまま増え続けると、漁業や観光業への影響だけでなく、船舶運航の障害や沿岸中域の環境も悪化すると推測されます。

海洋ごみ問題に対する取り組みとは?

国際的な動向
持続可能な開発目標(SDGs)
ターゲットの1つとして「2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」が掲げられている。

国連環境総会(UNEA3)(2017.12)
「海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチック」に関する決議(resolution)が採択され、海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに対処するための障害及びオプションを精査するための専門家グループ会合を招集することを決定。

日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM20)(2018.6)
マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策等について、率直な意見交換を実施。中国・韓国と海洋プラスチック問題がグローバルな共通課題であるとの認識を共有。2019年に日本で開催されるG20首脳会合及び大臣会合に向け、連携・協力を確認。

日本国内での動向・取り組み
海岸漂着物処理推進法改正 (2018.6.15成立)
目的の改正が行われ、下記の「海洋環境の保全の観点等」が追加された。
・「漂流ごみ等」の追加、漂流ごみ等の円滑な処理の推進
・3Rの推進等による海岸漂着物等の発生抑制
・マイクロプラスチック対策
・国際的な連携の確保及び国際協力の推進

海岸漂着物等地域対策推進事業
都道府県や市町村等が実施する海洋ごみに関する地域計画の策定、海洋ごみの回収・処理、発生抑制対策に関する事業に対し、補助金による支援。

海洋プラスチックごみ対策アクションプラン
2019年に環境省が策定。プラスチックごみの回収から適正処理の徹底ポイ捨てや不法投棄、非意図的な海洋流出の防止、既に流出してしまったプラスチックごみの回収まで多角的に取り組む計画。

漁業における取組
漁業現場においても、使用済みの漁具を海洋へ流出させないために、プラスチックを使用した漁具の適切な使用・処理を推進することが重要です。また、陸域由来のものも含め海洋に流出したごみについては、積極的に回収し処理する取組が進められています。

・使用済み発泡スチロール製フロートの減容・リサイクル
・海浜清掃活動
・入網ごみの持ち帰り促進

また、上記の「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」に基づき、漁業者が操業時に回収した海洋ごみについて、漁業者への負担に配慮してその持ち帰りを促進するため、水産庁と環境省とが連携し、都道府県等宛に通知が発出されています。




プラスチック削減に向けて動いている企業も出ています。地球環境の改善だけではなく、ストローなど身近なものを廃止することで消費者のプラスチックごみへの意識改革にもつながることが期待されています。

増え続ける海洋ごみに対し、国や企業による取り組みも重要ですが、私たち一人一人が海洋ごみ問題に意識を向け、普段からごみを減らす努力をすることが何よりも重要です。

レジ袋有料化からマイバッグを所有する方が増えたように、マイボトルやマイストローなどを持ち歩くようにしたり、みをポイ捨てしない、過剰包装を避けるなど、すぐにでも実践できることは多々あります。こうした日々の取り組みや環境に対する意識の変化が、海の未来を変えるでしょう。



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