水銀灯の処分方法は?家庭・事業者別の捨て方・費用・注意点

水銀灯の処分方法は、家庭から出たものか、事業活動や工事で発生したものかによって異なります。
家庭から出た水銀灯は、自治体が定める一般廃棄物の分別ルールに従って処分します。一方、店舗・工場・倉庫・オフィスなどから出た水銀灯は、原則として「水銀使用製品産業廃棄物」として処理しなければなりません。
処分するときに最も重要なのは、水銀灯を割らず、指定された回収ルートへ出すことです。また、古い照明器具では安定器にPCBが含まれている可能性もあるため、ランプと器具を分けて確認する必要があります。
この記事では、水銀灯の処分方法を家庭・事業者・工事のケース別に解説します。水銀灯の見分け方、処分費用、破損時の対応、罰則、LEDへの交換についても紹介します。
水銀灯の処分方法を家庭・事業者別に確認
水銀灯は、排出された場所と状況によって廃棄物の区分や処分責任者が変わります。
| 排出状況 | 廃棄物の扱い | 主な処分方法 | マニフェスト |
|---|---|---|---|
| 一般家庭から排出 | 一般廃棄物 | 自治体回収、指定施設への持ち込み、販売店回収 | 不要 |
| 店舗・工場・倉庫などから排出 | 水銀使用製品産業廃棄物 | 許可を持つ産業廃棄物処理業者へ委託 | 原則必要 |
| 建設工事に該当する交換工事で排出 | 水銀使用製品産業廃棄物 | 原則として元請業者が排出事業者として処理 | 元請業者が管理 |
家庭から出た水銀灯を、自治体が「不燃ごみ」として回収している地域もあります。そのため、「水銀灯は不燃ごみに出せない」と一律に判断するのではなく、必ず居住地の自治体ルールを確認してください。
事業者の場合は、家庭ごみの集積所へ出すことはできません。産業廃棄物として分別保管し、適切な許可を持つ処理業者へ委託します。

家庭から出た水銀灯の処分方法
家庭で使用していた水銀灯は、市区町村が定める一般廃棄物の分別ルールに従って処分します。
自治体によって、次のような区分が使われています。
- 有害ごみ
- 危険ごみ
- 蛍光管・電球類
- 水銀含有製品
- 不燃ごみ
- 拠点回収
- 清掃施設への持ち込み
同じ都道府県内でも、自治体ごとに回収方法は異なります。
1.自治体の分別区分を確認する
自治体の公式サイトやごみ分別アプリで、次の言葉を検索します。
- 水銀灯
- HIDランプ
- 蛍光管
- 水銀使用製品
- 電球
- 有害ごみ
水銀灯の記載が見つからない場合は、自治体の清掃担当窓口へ型番を伝えて確認してください。
2.割れないように梱包する
購入時の箱が残っている場合は、その箱へ戻すのが安全です。箱がない場合は、新聞紙や緩衝材で包み、箱の中で動かないように固定します。
複数本を処分するときは、ランプ同士が直接ぶつからないように一本ずつ仕切ります。ランプの上に重い物を載せたり、袋だけに入れて運んだりすると、破損する可能性があります。
3.指定された回収場所へ出す
自治体が指定する回収日や回収拠点、清掃施設などへ出します。
家電量販店や電器店が照明ランプを回収していることもありますが、すべての店舗が水銀灯を受け入れているわけではありません。回収対象、料金、購入条件、持ち込み方法を事前に確認してください。
事業者から出た水銀灯の処分方法
店舗、工場、倉庫、事務所、学校、病院などの事業活動から排出された水銀灯は、原則として「水銀使用製品産業廃棄物」として処理します。
「水銀使用製品産業廃棄物」は、新しい産業廃棄物の種類や特別管理産業廃棄物を指すものではありません。ガラスくずや金属くずなどの産業廃棄物のうち、水銀を使用した製品であることを明確にして管理する区分です。
1.排出事業者を確認する
自社の従業員が水銀灯を取り外した場合は、通常、その事業者が排出事業者になります。
一方、照明更新が建設工事に該当する場合は、原則として工事の元請業者が排出事業者になります。施設所有者、管理会社、工事会社のどこが処理責任を負うのか、工事契約の段階で明確にしてください。
2.種類・本数・破損状態を記録する
処理業者へ相談する前に、次の項目を確認します。
- ランプのメーカーと型番
- 水銀灯・メタルハライドランプなどの種類
- 本数
- ランプの長さや大きさ
- 未破損か破損済みか
- 器具や安定器も撤去するか
- 搬出場所や高所作業の有無
写真を撮っておくと、処理業者が品目や荷姿を判断しやすくなります。
3.他の廃棄物と分けて保管する
水銀灯は、破損しないように専用の箱や容器で保管します。
保管時は、次の点に注意してください。
- 元箱や仕切り付きの箱を使用する
- ランプ同士がぶつからないようにする
- 上に重い物を載せない
- フォークリフトなどが通る場所を避ける
- 箱に「水銀使用製品産業廃棄物」と表示する
- 破損したランプは未破損品と分ける
収集運搬車両については、水銀灯だけを単独で運ばなければならないという一律の規定ではありません。ただし、他の廃棄物によって破損しないよう、容器や仕切りを使って区分する必要があります。
4.処理業者の許可と処理方法を確認する
委託先を選ぶときは、水銀灯を構成する産業廃棄物の種類について、必要な収集運搬業・処分業の許可を持っているか確認します。
あわせて、次の点を処理業者へ確認してください。
- 水銀使用製品産業廃棄物を取り扱えるか
- 水銀灯を受け入れた実績があるか
- 未破損品と破損品の両方を受け入れられるか
- どのような設備で処理するか
- 水銀の大気への飛散防止措置が取られているか
- 最終処分までの処理ルートが明確か
水銀灯は、どのような場合も破砕してはいけないわけではありません。適切な設備と飛散防止措置を備えた処理施設では、管理された状態で破砕処理されることがあります。
5.委託契約書とマニフェストへ記載する
処理を委託するときは、書面による産業廃棄物処理委託契約を締結します。
委託契約書には、委託する産業廃棄物に「水銀使用製品産業廃棄物が含まれる」ことを記載しなければなりません。
マニフェストにも、次の内容を記載します。
- 産業廃棄物の種類
- 数量
- 水銀使用製品産業廃棄物が含まれること
単に「廃ランプ」「ガラスくず」などと記載するだけでは、水銀使用製品であることが明確にならない可能性があります。
6.処理完了を確認する
処理業者へ引き渡した後も、排出事業者の責任がなくなるわけではありません。
マニフェストの返送や電子マニフェストの処理状況を確認し、最終処分が完了するまで管理します。契約書、許可証の写し、マニフェストなどの書類は、法令で定められた期間保管してください。
自社で処理施設へ運べるのか
排出事業者が自ら産業廃棄物を運搬する場合、通常は産業廃棄物収集運搬業の許可を必要としません。
ただし、自社運搬であっても産業廃棄物の収集運搬基準を守る必要があります。車両への表示、書類の携帯、飛散・流出・破損防止などの対応が必要です。
持ち込み先となる処分業者については、対象となる廃棄物を処分できる許可を持っていなければなりません。少量だからという理由で、無許可の回収業者や一般の資源回収へ渡すことはできません。
水銀灯が割れた場合の対処方法
水銀灯が割れた場合は、破片によるけがと水銀蒸気へのばく露を防ぐため、換気と立ち入り制限を優先します。
破損時の基本手順
- 人やペットを破損場所から離す
- エアコンや換気空調設備を停止する
- 室内側のドアを閉める
- 窓や屋外へつながるドアを開け、5~10分程度換気する
- 使い捨て手袋を着用する
- 大きな破片を厚紙などですくい取る
- 細かな破片や粉末を粘着テープや湿らせた紙で回収する
- 破片、使用したテープ、手袋などを密閉できる袋や容器へ入れる
家庭用掃除機を使用すると、細かな破片や水銀を含む物質が室内へ拡散したり、掃除機内部に残ったりする可能性があります。可能な限り使用を避けてください。
回収した破片は、通常の未破損ランプに混ぜず、自治体または処理業者へ「割れた水銀灯」であることを伝えて処分方法を確認します。
大量に破損した場合や、水銀と思われる銀色の液体が確認できる場合は、自分だけで処理せず、自治体や専門業者へ相談してください。
水銀灯の処分費用
水銀灯の処分費用には、全国共通の公的な料金相場はありません。数量、地域、ランプの種類、運搬距離、搬出条件、破損状態などによって変わります。
家庭から処分する場合
自治体回収は無料の場合がありますが、清掃施設への持ち込みや粗大ごみ扱いでは料金が発生することがあります。
販売店回収についても、無料回収、購入時のみ回収、有料回収など店舗によって条件が異なります。
事業者が処分する場合
事業者の処分費用は、主に次の項目で構成されます。
- 収集運搬費
- 水銀灯の処分費
- 車両や人員の最低料金
- 梱包容器や専用ケースの費用
- 建物内からの搬出作業費
- 高所作業車や足場の費用
- 夜間・休日作業の割増料金
- 委託契約やマニフェストの管理費
- 器具・安定器などの処分費
- PCB分析費やPCB廃棄物の処分費
水銀灯の本数が少なくても、車両や人員の最低料金が発生するため、一本当たりの費用が高くなることがあります。
見積もりを比較するときは、処分単価だけでなく、収集運搬、搬出、梱包、契約、マニフェスト対応が含まれているかを確認してください。
水銀灯の見分け方
一般に「水銀灯」と呼ばれている照明は、主に高圧水銀ランプを指します。
高圧水銀ランプは、HIDランプと呼ばれる高輝度放電ランプの一種です。ただし、HIDランプにはメタルハライドランプや高圧ナトリウムランプなども含まれるため、「HID」という表示だけでは高圧水銀ランプとは断定できません。
型番や表示を確認する
ランプ本体や照明器具のラベルに、次のような表示がないか確認します。
- 水銀ランプ
- 高圧水銀ランプ
- HID
- H
- HF
- HG
- HGF
- HRF
型番の付け方はメーカーや年代によって異なります。型番が確認できた場合は、メーカーの公式サイト、カタログ、仕様書で調べるのが確実です。
また、水銀灯と外観が似ているランプにも水銀が使用されている場合があります。事業者は、判別できないランプを一般の電球や金属くずへ混ぜず、型番や写真を処理業者へ提示して確認してください。
水銀灯の製造・輸出入が規制された理由
水銀灯が減少した背景には、水銀による環境汚染や健康被害を防止するための「水銀に関する水俣条約」があります。
日本では条約に対応するため、一定の水銀使用製品について製造や輸出入を規制しています。一般照明用の高圧水銀ランプも規制対象となり、2020年末以降、原則として製造・輸出入が禁止されました。
ただし、現在使用している水銀灯を直ちに取り外さなければならないという意味ではありません。既存の水銀灯の使用や、規制前に製造された在庫品の国内販売・購入が一律に禁止されたわけでもありません。
一方で、メーカーの生産終了や在庫減少により、交換用ランプは入手しにくくなっています。故障してから対応するのではなく、計画的にLEDへ更新することが重要です。

水銀灯の安定器にはPCBが含まれている可能性がある
水銀灯そのものと、照明器具に取り付けられている安定器は別の廃棄物です。
古い水銀灯用安定器には、PCBが使用されている可能性があります。特に1972年8月以前に製造された業務用・施設用照明器具を撤去する場合は、メーカー、型式、製造年月を確認してください。
銘板が読めない場合やPCB使用の有無を判断できない場合は、メーカーや専門業者へ確認します。自己判断で分解したり、一般の金属くずとして処分したりしないでください。
高濃度PCBを使用した安定器の処分期間はすでに終了しています。該当する安定器が見つかった場合は、保管場所を管轄する都道府県または政令市へ速やかに相談する必要があります。
低濃度PCB廃棄物の処分期間は、2027年3月31日までです。古い照明設備が残っている事業所では、早めに調査を進めてください。
水銀灯からLEDへ交換するメリット
交換用水銀ランプの入手が難しくなっているため、水銀灯を使用している施設ではLED化を検討する必要があります。
LED照明へ交換すると、次のようなメリットがあります。
- 消費電力を削減できる
- 点灯後すぐに明るくなる
- ランプ交換の回数を減らせる
- 高所での交換作業を減らせる
- 水銀を含む使用済みランプの発生をなくせる
- 保守計画を立てやすくなる
ただし、既存の水銀灯用安定器を残したままLEDランプだけを取り付けられるとは限りません。ランプ、安定器、電源方式、口金、配光、照度、使用環境を確認し、必要に応じて器具ごと交換します。
撤去工事を依頼するときは、見積書に次の内容が含まれているか確認してください。
- LED照明器具の費用
- 既存器具の撤去費
- 水銀灯の処分費
- 安定器や配線部材の処分費
- PCB調査の有無
- 高所作業や足場の費用
- 産業廃棄物の契約・マニフェスト対応
水銀灯の処分先が決まっていない場合はエコ・ブレインへ
事業所から出た水銀灯は、水銀使用製品産業廃棄物としての分別保管や、適切な許可業者への委託、契約書・マニフェストの管理が必要です。
「水銀灯を処分できる業者が見つからない」「ランプと照明器具をまとめて撤去したい」「複数の店舗や事業所から一括回収したい」といった場合は、株式会社エコ・ブレインへご相談ください。
排出される水銀灯の種類や本数、保管状況、搬出条件を確認し、適切な処分方法をご提案します。
まとめ
水銀灯の処分方法は、家庭、事業者、工事のどのケースで排出されたかによって異なります。
家庭から出た水銀灯は、自治体が定める一般廃棄物の分別ルールに従って処分します。自治体によっては、不燃ごみ、危険ごみ、拠点回収などの区分が使われているため、公式サイトや窓口で確認してください。
事業活動から出た水銀灯は、原則として水銀使用製品産業廃棄物として分別保管し、適切な許可を持つ業者へ処理を委託します。委託契約書とマニフェストには、水銀使用製品産業廃棄物が含まれることを明記します。
処分時は、次のポイントを押さえることが重要です。
- 水銀灯を割らない
- 他の廃棄物と区分する
- 家庭では自治体ルールを確認する
- 事業者は許可業者へ委託する
- 契約書とマニフェストへ正しく記載する
- 古い安定器のPCB使用状況を確認する
- 交換用ランプがなくなる前にLED化を検討する
水銀灯の種類や処分方法を判断できない場合は、型番や写真を用意し、自治体または産業廃棄物処理業者へ確認してください。

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[著者]

経歴:2019年にエコブレインに入社。以降5年間、広報部での経験を活かし、環境保護の重要性を広めるための活動に尽力している。特にデジタルマーケティングとコンテンツ制作に強みを持ち、多くの記事を執筆している。
趣味: 読書、ヨガ、カフェ巡り
特技: クリエイティブライティング、データ分析とマーケティング戦略立案











